長州力と令和のUWF「何がやりたいんだ」の答え…金曜8時のプロレスコラム

ケンドー・カシンの挑発を無視した放送席の長州力
ケンドー・カシンの挑発を無視した放送席の長州力

 プロレス新団体「GLEAT(グレイト)」が15日、東京・後楽園ホールでプレ旗揚げ戦「GLEAT Ver.0」を開催した。元UWFの田村潔司(50)=U―FILE CAMP=がエグゼクティブディレクターを務め、格闘プロレスUWFを認めなかった男、長州力(68)がオブザーバーを務める異色の団体だ。

 1995年10月9日。東京ドームで「新日本プロレス対UWFインターナショナル」の全面対抗戦を仕掛け、「U」を消すことに成功した長州と、対抗戦を拒否した田村のまさかの邂逅(かいこう)。25年前を取材した立場として見届けないわけにはいかなかった。

 オープニングのあおりVTRで、こっちの言いたいことを先にやられてしまった。

 「どこに注目すればいいの? なぜ長州力と田村潔司が一緒に? 今さらUWF? 無謀だろ 何がやりたいんだ 所属選手が無名の2人なんて…」。そして「すべての答えはここから始まる」ときた。

 「何がやりたいんだ」は、長州と故橋本真也さんの“タココラ問答”での長州の名言でもある。文字通り「何がやりたいんだ」と見るしかなかった。

 全5試合でプロレスルース3試合、UWFルール2試合。第2試合のUWFダブルバウトは、グレイト所属の伊藤貴則(27)がU―FILE CAMPの大久保一樹(41)と組んで、元UWFの船木誠勝(51)、元藤原組の田中稔(47)組と対戦。試合前に「UWFのテーマ」が流れ、歓声禁止の聖地に「おおーっ」というどよめきが起きる中、UWFルールがビジョンで紹介された。

 田村がリング下で見守る中、ロープに飛ばず、キックと関節技の攻防を見せるUWFマッチが行われた。そこで田中が長州の必殺技、サソリ固めを披露した。そう言えば、UWFインター時代の桜庭和志(51)が前座でサソリ固めを掛けていたことを思い出した。PRIDEなどの総合格闘技では、絶対にできなかったこの見せる攻防があるのもUWFプロレス。試合は、船木が10分33秒、掌底からスリーパーホールドで伊藤を仕留めた。

 船木は「UWFのスタイルを継承してくれるのはすごいうれしい。田村がいるからそれができた。長州さんがいるのに頑なにUスタイルを押し通して若手にやらせた。それは田村しかできない」と評価した。

 長州はUWFマッチを避けるように第4試合の拳王(35)VS渡辺壮馬(21)から放送席で解説を務めた。メインのスーパードリームマッチは、秋山準(50)、関本大介(39)、谷口周平(43)組VS杉浦貴(50)、藤田和之(49)、ケンドー・カシン(52)組。専大レスリング部後輩の秋山ほか、関本をのぞいて、長州のバックボーンであるアマレス出身選手ばかりだ。そしてUWFにはない純プロレスならではの6人タッグマッチ。

 放送席の長州はリングを見ず、机上のモニターを見ていたのか顔を下に向けたまま。実況アナが振っても、言葉は少ない。カシンが場外乱闘で、わざと放送席前で暴れたが長州は見向きもしない。

 初対決となった藤田と秋山は、手四つからのグラウンドの攻防、そして激しい打撃戦を展開した。最後は藤田がパワーボムで谷口を沈めた。

 退場時にカシンが再び長州の前に行き、からませようと深々と頭を下げたが、長州は“挑発”には乗らず顔を上げることはなかった。娘婿でリキプロ代表の池野慎太郎氏(33)は「あまり前面に出ないようにしてますので」とコメントはなし。オブザーバーなのでその義務はないか。

 田村は「久しぶりにUWFの試合を拝見してもらってすごく良かった」とコメントした。そのUWFと対比することで、レスリングをベースにした長州のプロレスが鮮明に見えたのも確かだ。長州と田村のミスマッチが生み出すものは、面白いかもしれない。(酒井 隆之)

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