松本穂香 力まず、飾らず、自然体…23歳等身大の魅力 主演映画「みをつくし料理帖」16日公開

初の時代劇主演を振り返る松本穂香(カメラ・宮崎 亮太)
初の時代劇主演を振り返る松本穂香(カメラ・宮崎 亮太)

 女優の松本穂香(23)が主演する映画「みをつくし料理帖」(角川春樹監督)が16日に公開される。松本演じる料理人・澪(みお)と幼なじみの野江(奈緒)の友情を描いた時代劇。自身初の時代劇で料理も初心者だったが、2か月ほど料理学校に通い、猛特訓。着物を着こなし「どんな時も、道はひとつきり」と料理に打ち込む主人公になりきった。力まず、飾らず、自然体。デビュー5年にしてベテランの風格さえ漂わせる23歳の魅力に迫った。

 角川監督のラストメガホンとして注目される「みをつくし―」で主演に抜てきされた松本。「夢のようなお話で、私でいいのかなと思いました。最初は半信半疑で、本当に撮るのかなって」。時代劇は初挑戦だが「和装が似合うねって皆さんに言っていただいて、ちょっと安心しました」。

 ドラマ版の澪役は、テレビ朝日では北川景子(34)、NHKでは黒木華(30)が演じているが、「あえて見ないようにしました」。自分なりの澪を作り上げるつもりで「キャッチコピーに『道はひとつきり』という言葉があるように、自分の好きな料理に集中する姿、お仕事に対する覚悟の持ち方、澪は自分にはマネできないところまでいっている。波乱万丈で、過酷な状況を乗り越えて、健気(けなげ)で前向きに一生懸命。絶対に落ち込まない。それを意識しました」。

 台本の読み合わせを念入りに行った。「最初はみんなで集まって、その後は、シーンごとに。4回はやりました。角川監督からは『しゃべるスピードをゆっくりめに。時代劇を意識してやってほしい』と言われました。本読みを重ねていたので、現場で迷うことはなかったですね」。撮影に入ってからは細かい指導を受けることはなく、監督からは「素の穂香を出せばいい。いいね。それで合ってるよ。120%の力が出ていたよ」と勇気づけられた。

 撮影前、料理学校で基本から教わった。「江戸時代に合わせた包丁を使って練習しました」。劇中では「牡蠣(かき)の味噌(みそ)仕立て」「とろとろ茶碗(ちゃわん)蒸し」「おぼろ昆布の握り飯」などの料理が登場し、スクリーンから香りが伝わるような臨場感を観客に与える。「撮影の合間に奈緒さんと一緒に食べた、とろとろ茶碗蒸しが忘れられません」

  • 主人公の澪(松本穂香)(右)と野江(奈緒)の友情を描く映画「みをつくし料理帖」
  • 主人公の澪(松本穂香)(右)と野江(奈緒)の友情を描く映画「みをつくし料理帖」

 澪が料理人を務める、そば処「つる家」の店主・種市を演じる石坂浩二(79)との共演シーンが多かった。「石坂さんはカメラが回っていない時にも座らない。好奇心がすごく旺盛で、ずっと誰かとお話ししている。でも、本番になると、グッと集中する。サラッと役に入り込む感じ」。種市が「つる家」の将来を澪に託す場面は見逃せない大きな見どころだ。

 石坂のほか、浅野温子(59)、中村獅童(48)、若村麻由美(53)、薬師丸ひろ子(56)、渡辺典子(55)ら角川監督を慕う豪華キャストが集結した。「皆さん角川監督と縁のある方ばかり。薬師丸さんがクランクアップされた時に涙を流されていて、歴史を感じました」。錚々(そうそう)たる出演者の中で主役を務めたが「すごく、いい経験をさせてもらった。主役と言わせてもらってますけど、このメンバーの中では主役も何もないかな」と自然体を意識した。

 幼なじみの野江を演じる奈緒(25)とは撮影中に心を通い合わせ、今では芸能界で一番の親友と言える存在だ。「泊まりがけの撮影の時、奈緒さんの部屋で話したり、自然と仲良くなりました。仕事抜きに話をするうちにいつの間にか打ち解けていきましたね」。同世代は奈緒と小関裕太(25)だけ。ほかは大ベテランばかりという状況で「奈緒さんと小関さんには話し相手になってくれて、心強かった」と感謝した。

 撮影を振り返り「全部大変だったし、一生懸命に取り組みました。澪はずっと野江ちゃんのことを思って、貝殻を胸に抱いて思い続けている。だから、野江ちゃんとのシーンは特に印象深い。澪を演じてみて、志を強く持つこと、お仕事への向き合い方、勉強になることがたくさんありましたね。好きなもの、大切なもの、見失いがちだけど、そこ一点を見つめること大事だと思えるようになりました」。

 出来上がった作品を試写で見て「すごく映像がきれ。色合いだったり、カメラワークも面白い。スタッフさんもいい緊張感で楽しくできる現場だったのかな。そのトップに立つ角川春樹さんはすごいな」と感じたという。

 女優デビューから5年。映画「おいしい家族」「君が世界のはじまり」のふくだももこ監督(29)、「わたしは光をにぎっている」の中川龍太郎監督(30)から「これから何度も一緒に仕事をしたい」と熱烈ラブコールを送られるなど絶大な信頼を勝ち取っている。「なぜそんなに好いてもらえるのか分からないんですよね。でも、やっぱり仕事は人と人。なるべく好かれたいとは思っています。また一緒にやりたいと思ってもらえることが、一番うれしい」

 気負わず、飾らない姿勢が魅力だ。心掛けているのは「普通である」ということ。「役作りというものが、いまだによく理解できていないので、どんな指示にも対応できる普通の女優がいいかな」。目の前の仕事に集中して取り組むが、意外にも「一生、女優でやっていく、という覚悟は正直まだない」という。「まだ23なので、もっといいなと思う道があるかも。それくらいの気持ちでやるほうが、うまくできそう」。足元を見つめ、必要以上に力むことはない。

 大阪出身ということもあり、お笑い好きで「普段はテンションが低めですが、友達と居るときは全然違いますよ。相手がとぼけた子だと突っ込むこともあります」。ジャルジャルの大ファンで「キングオブコントでジャルジャルさんが優勝した時は号泣して喜びました」。今年はコロナ禍があり「やっぱり娯楽は大事だなと。映画って娯楽なんだな、必要なものだな、純粋に映画を楽しみたいと、改めて思いました」

 声優を務めたアニメ「君は彼方」を含め、今年だけで6本もの映画が公開される。「たくさんの人がスクリーンに集中する。だから、小さな動作が大きな意味を持つ」と映画にこだわり、着実にキャリアを重ねている。「みをつくし―」は16日に公開を迎えるが「無事に公開できることがありがたい。角川監督の幸運に乗っかった感じですね。たくさんの方に見てもらいたいし、皆さんの反応が気になります」と声を弾ませた。(ペン・有野 博幸、カメラ・宮崎 亮太)

 ◆松本 穂香(まつもと・ほのか)1997年2月5日、大阪府生まれ。23歳。2015年に短編映画「MY NAME」でデビュー。17年のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で注目され、18年のTBSドラマ「この世界の片隅に」に主演。19年の映画「おいしい家族」で長編映画初主演。20年は「his」「酔うと化け物になる父がつらい」「君が世界のはじまり」「青くて痛くて脆い」「みをつくし料理帖」「君は彼方」と6本の映画が公開される。身長162センチ。

 ■奈緒から陶芸やろう 松本はTBSラジオで冠番組「新米記者・松本穂香です。」(日曜・後0時30分)を担当している。ゲストに人生の失敗談や教訓を聞く番組で、11日にはゲスト出演した奈緒から「今度、一緒に陶芸をやりましょう」と誘われた。角川監督がラストメガホンを公言しながら「みをつくし―」の続編に意欲を見せていることに触れ、2人で「みをつくしシリーズが最後、ということなのかな」と話していた。

 ■初の時代劇も入れ込みすぎず 「みをつくし―」で共演した石坂も松本の演技に太鼓判を押した。「時代劇が初めてとは思わなかった。だからと言って必要以上に『時代劇をやろう』と思ってないのがいい。周りがふん装しているから、妙に時代劇に入れ込みすぎることがあるんだけど、それが全くなかった。すごく自然で良かった」と絶賛。撮影の合間には、料理上手の石坂から包丁さばきの手本を見せてもらったこともあったという。

初の時代劇主演を振り返る松本穂香(カメラ・宮崎 亮太)
主人公の澪(松本穂香)(右)と野江(奈緒)の友情を描く映画「みをつくし料理帖」
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