全員欧州組の森保ジャパンは「結果を出さなきゃパスが来ない」 忖度も優しさもない実力主義の世界

コートジボワール戦での鎌田(日本サッカー協会提供)
コートジボワール戦での鎌田(日本サッカー協会提供)

 “海外移籍あるある”の1つに、「味方からパスが全然来ない」というものがある。

 海外に挑戦した多くの選手の口から聞いた。名前もプレースタイルも知らないアジア人に、チームメートはパスを回してくれない。忖度も優しさもない、生き残りをかけた実力主義の風土。今回の代表合宿でも、今夏にベルギーに渡ったFW鈴木武蔵が同様のことを話し、「ゴールを重ねることでチームも監督も信頼してくれるようになった」と語っていた。

 でもこれ、“日本代表あるある”にもなりつつある。史上初めて欧州組のみの編成となった森保ジャパンのオランダ遠征2試合を見て、強く感じた。

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 1―0で勝利したコートジボワール戦。攻撃は伊東純也のいる右サイドに偏っていた。確かに日本の左サイドにはトットナムのオーリエ、マンチェスターUのバイリーがいたが、左の2人もフランスの強豪リヨンコンビ。パフォーマンス自体も決して穴とは言えなかった。それでも日本の攻撃は右主体だった。

 伊東が上げたクロス数は10本を超えたかもしれない。伊東が後半40分に退いた直後、「きつすぎて仕掛けられない」と呟きながらベンチで顔を覆う姿が日本代表の公式YouTubeチャンネルにアップされている。

 だがその“酷使”ぶりは、それだけ信頼を得ている証しとも言える。昨年の代表戦で3アシストと結果を残した伊東は、今季リーグ戦全8試合にフル出場。練習でも状態の良さをチームメートに示していたのだろう。結局右サイドから得点は生まれなかったが、可能性は示し続けた。ある意味で容赦なく、味方からパスが届けられた。

 前半は「鎌田がいいところにいるのにな…」と思っていた。鎌田大地ほどではなかったが、左の久保建英もビルドアップ時のポジショニングは悪くなかった。鎌田自身も「前半はパスをもっとつけてくれてもいいのにと思っていた。もっと無理してでも僕に、と思っていた」と回想している。

 それでも、フランクフルトで1シーズン10点取ろうが、世界が注目する19歳だろうが、代表では新参者。どれだけピッチ外で仲良くなろうが、海外クラブと同様に日本代表も実力を示し、結果を出さなければパスが来ない世界になっている。鎌田も「そこはチームメートとの関係性が浅いなと。逆に言えばもっとよくなれる部分」と淡々と振り返っており、前半の終盤に1タッチパスで崩しに貢献する場面が増えてくると、後半からは徐々にボールタッチ自体が増えていった。

 カメルーン戦もそうだった。「使われてナンボ」のプレースタイルの安西幸輝は、「使われる」ことがほとんどないまま前半だけで交代。ボランチに入った中山雄太の縦パスの少なさは目についたが、前線の中山への信頼がなく「中山が誰かにパスを渡したあと」に勝算を見込み、動き出しを行っていたとも捉えられる。

 18年ロシアW杯の段階でレギュラーのほとんどを欧州組が占めていたわけだが、今回の2試合ほど「実力主義」「結果ありき」の空気を試合中のピッチから感じたことはなかった。欧州で凌ぎを削るものだけで構成された、実力主義の世界観。年齢も所属クラブの規模も性格の違いも関係なし。実に頼もしく感じた。(記者コラム・岡島 智哉)

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