中村獅童、無口に語る男らしさと義理人情…16日公開「みをつくし料理帖」連載〈8〉

あさひ太夫を演じる奈緒と共演する中村獅童の一場面
あさひ太夫を演じる奈緒と共演する中村獅童の一場面

 今作がラストメガホンとなる角川春樹監督(78)は、獅童の後援会会長でもある。母・陽子さん(2013年死去、享年73)が、俳句の句会で角川氏と知り合い、長く交流してきた。今ではちょっと信じられない話だが、獅童は幼少時「目が細すぎて役者に不向きだ」と言われた時期があった。

 発奮した陽子さん。“かぶく”感性を育てるため、アングラからストリップまで見せ、またある時は息子の重い鏡台を背負って階段を上がり楽屋まで運んだ。我が子にささげた人生だった。「そんな母が結んだ出会い。監督には歌舞伎で役の付かないころから応援してもらった。母にこの作品を見せられず残念。でも出られて胸がいっぱいなんです」。折に触れ、角川氏のパイオニア精神を目の当たりにする中、自分の信じる道を突き進む勇気を学んだ。

 「みをつくし―」では徹底した抑制の芝居で存在感を出す。吉原の頂点を極めたあさひ太夫(奈緒)の料理番・又次。とても無口な男だ。登場したとたん、作品が引き締まる。セリフのないシーンでの表情、一挙一動。内に秘めた激しい思いが伝わってくるようだ。

 監督からは“叶(かな)わない恋”を意味する「近松門左衛門の世界だ」とヒントを得た。「この時代の男らしさ、義理人情とは何か。腹の底で何を思うのか。それらの思いをどこまで込められるか。意識しましたね」。コロナ禍の今、封切られる意味を考える。「時代劇が減る中、監督が隅々までこだわった重厚な作品。四季、和食、日本のすばらしさに改めて気づかせてくれる。歌舞伎俳優として参加させてもらえたことに感謝しています」(内野 小百美)

 ◆中村 獅童(なかむら・しどう)1972年9月14日、東京都生まれ。48歳。81年2代目獅童として初舞台。今作出演の窪塚洋介との共演映画「ピンポン」(02年)でブレイク。主人公の1人を演じた角川春樹製作「男たちの大和/YAMATO」(05年)は東映実写最高興収51億円を記録。15年初演の絵本「あらしのよるに」歌舞伎版を成功させ、16年には初音ミクとの「超歌舞伎」をスタートさせた。

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