東京五輪、観客数削減へ…最大50%減も 「満員」も「無観客」も可能性低く

国立競技場を視察する世界陸連のセバスチャン・コー会長(ロイター)
国立競技場を視察する世界陸連のセバスチャン・コー会長(ロイター)

 2021年に延期された東京五輪について、観客数を削減して開催する方向で検討が進んでいることが8日、分かった。世界で新型コロナウイルス禍の収束の見通しが立たない中で、安心・安全な大会運営のための施策となる。プロ野球、Jリーグをモデルとして、最大削減幅で会場の収容人数の50%の規模で行う案も出ている。無観客開催は回避される見通しだ。今後、政府主導のコロナ対策調整会議で議論され、年内にも方針が示される。

 東京五輪で、大会の根幹となる観客数については、慎重に議論が進められてきた。複数の関係者によると、現時点では定員通り、また逆に無観客で行う可能性は極めて低く、削減を前提に協議が進んでいる。ある関係者は「IOC(国際オリンピック委員会)が国際競技団体に観客数削減についてリサーチしたと聞いた」と、水面下の動きを証言した。

 コロナ禍は収まらず、開催地である東京でも感染者数の高止まりが続く。会場で観客同士のディスタンス(距離)を保ち、ウイルス検査も含めた医療態勢を維持することは、参加アスリートの安心・安全のためには必須条件。“超満員”だと困難なのは明らかだった。日本ではプロ野球やJリーグが、9月からスタジアムの収容人数の50%まで、上限を緩和した。五輪もこの例にならい、最大削減幅で観客を半分にする「50%開催」の案が浮上している。会場ごとではなく全体として一定の割合となり、今後のコロナ禍の状況やワクチンの開発状況で、パーセンテージは変動するとみられる。

 IOCのバッハ会長は7日の理事会の後、無観客開催に否定的な考えを示した上で、「会場を満員にできるか、他の方法を取るべきかは分からない」と、観客制限の可能性に言及した。過去の「熱狂的なファンで埋まった会場を見たい」という発言からは、明らかにトーンダウン。一方で「海外からの観客がいることを前提に動いている」とも述べ、一定数を受け入れる方向性を示した。

 組織委はチケット収入を約900億円と見込んできた。数千億円規模といわれる延期の追加経費を抱えるだけに、観客削減は痛手となる。観客のウイルス検査態勢、販売済みチケットの取り扱い、座席設定など、ハードルは高い。

 観客数については、9日も会合がある政府主導のコロナ対策調整会議を中心に議論され、年内をメドに中間報告を示す方針。IOCのデュビ五輪統括部長も、「年末には輸送、観客、飲食といった大会運営面の全ての詳細が明らかになる」と、成果に期待を寄せた。

 ◆50%減ならチケットどうなる? 他の日に振り分け?

 観客数削減の場合、販売済みチケットの取り扱いが大きな問題となる。

 組織委はチケットの総販売数を明らかにしていないが、関係者によると、最終的に900万枚超の規模とみられる。ただ、海外販売分とIOCや競技団体、スポンサー企業などの関係者向けのチケットがあるため、一般販売分は、その7~8割(約630万~約720万枚)とされる。これまでのチケットの累計販売数は約448万枚で総数の半分ほどとなる。今後は関係者向けと一般向けの配分が再検討される可能性もある。

 組織委では延期に伴い、購入済みチケットは原則そのままの利用が可能と発表。1年後の来場が困難になった場合など、希望者には今秋以降に払い戻しするとしているが、まだ明確な手続き方法は公表されていない。

 もし「50%開催」なら、既に半数以上が売れた会場では、当然ながら調整が必要。関係者は「他の日や時間帯に振り分ける代替案や、それでも足りなければ払い戻しをお願いするなどの議論が出てくるかも」と指摘。別な関係者は「払い戻しだけでは納得してもらえない。五輪マークのついた限定品を贈るなど、付加価値が必要になってくるだろう」と、私案を述べた。

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