桐生祥秀、6年ぶりVで約束…五輪へ「速さと強さを兼ね備えた選手になって帰ってきたい」

直近の日本選手権男子100メートル決勝成績
直近の日本選手権男子100メートル決勝成績
男子100メートル決勝
男子100メートル決勝
男子100メートル決勝、10秒27で優勝した桐生(右は多田、左は竹田=カメラ・相川 和寛)
男子100メートル決勝、10秒27で優勝した桐生(右は多田、左は竹田=カメラ・相川 和寛)

◆陸上 日本選手権・第2日(2日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)

 男子100メートル決勝で、前日本記録保持者の桐生祥秀(24)=日本生命=が10秒27(向かい風0・2メートル)で6年ぶり2度目の優勝を飾った。8月に日本歴代7位タイの10秒03を出して勢いに乗っていたケンブリッジ飛鳥(27)=ナイキ=を、0秒01の僅差で撃破。弾みのタイトルを手にして新型コロナ禍に揺れた今季を締めくくり、21年東京五輪イヤーの来季へ「速さと強さを兼ね備えた選手になって帰ってきたい」と約束した。

 桐生が突き抜けた。60メートル過ぎから、真っ赤なユニホームがぐんぐん伸びる。「今年は最後(勢いが)落ちない。自信を持っていけた」。後半得意のケンブリッジを0秒01、10センチの僅差で振り切った。肌寒く向かい風の悪条件下で10秒27と記録はいまひとつだが、6年ぶりのタイトルは重い。観客2194人の喝采を浴び「こういう中で走れるのは幸せ。(五輪切符が懸かる)来年の日本選手権は、速さと強さを兼ね備えた選手になって帰ってきたい」と誓った。

 1日の予選、準決勝ともに組1着。決勝では序盤に多田に先行されたが、焦らなかった。「多田君が速いのは想定内」。競り合う中で、りきんで走りが崩れることなく勝ちきった。18年から日本生命と契約し、実質プロ選手として活動する。「甘えがなくなった。(日本一は)プロとして生活していくにあたってのけじめ。プロとして、桐生祥秀にどんな価値があるか。2番や3番ではいけない。コロナでも関係なく名前を広めたい」とプライドがにじんだ。

 コロナ禍に揺れた今季。自分を見つめ、内面も成長した。「時間は有効に使わないと。普段連絡をとっていなかった人とも連絡をとった」。少しでも他者から刺激を得たかった。マスクをして坂道を走っても「しんどいけど、何かプラスになるんじゃないか」と思えた。男子マラソンの大迫傑、女子100メートル障害の寺田明日香と協力し、コロナで試合機会を失った高校生向けオンラインイベントも実施。「高校の時は自分が速ければ良かった。今は元気をもらいたいとか人と関わりたいとか、全然違う」。17歳で10秒01を出した天才は、人間的な深みを増した。

  • 表彰式で笑顔の桐生(左は2位・ケンブリッジ、右は3位・小池)

    表彰式で笑顔の桐生(左は2位・ケンブリッジ、右は3位・小池)

 勝負は来季。最大3枠の東京五輪切符を争う21年日本選手権(6月、大阪)では、今大会不在の日本記録保持者サニブラウン・ハキーム(21)との対決が待つ。その先は、9秒台が当たり前の海外勢との争い。32年ロス五輪6位の“暁の超特急”こと吉岡隆徳以来89年ぶりの五輪ファイナリストには、避けて通れない関門が続く。「限界は人が決めるものだから、僕は決めていない。限界でしょ、って言われたらイラっとする。僕はその言葉を使わない」。己の伸びしろを信じる24歳は、まだ夢への途上にいる。(細野 友司)

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男子100メートル決勝、10秒27で優勝した桐生(右は多田、左は竹田=カメラ・相川 和寛)
表彰式で笑顔の桐生(左は2位・ケンブリッジ、右は3位・小池)
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