【藤原義雄の南紀直送便】14年前亡き釣友たちと仕留めた65センチ尾長グレ

数々仕留めた大物の中でも特に印象深い65センチの尾長グレを持つ藤原さん
数々仕留めた大物の中でも特に印象深い65センチの尾長グレを持つ藤原さん

 まだ秋磯は始まったばかり。南紀のグレ釣りも本格的なシーズンインの前だ。今回は、ちょっと番外編。「記憶に残る大物」というテーマで過去を振り返る。

 釣った大物は数々いるが、全て覚えている。中でも強烈に頭へ焼き付いているのは…。今から14年前、愛媛・武者泊にある「ヤッカンのワレ」で仕留めた実寸65センチ、拓寸66センチ、重量4・3キロの尾長グレだ。

 あの日、今は亡き釣友らと3人で渡船に乗り込んだ。武者泊では各渡船の代表者がジャンケンで磯の優先権を決める。幸い、我々の代表が「やったー!」と大声を上げた。

 「ヤッカンのワレ」には5人で渡礁した。ただ、渡礁といっても磯に下りる訳ではない。断崖絶壁に設置された、ステンレス製の足場に乗るのだ。細いパイプを組んだ足場で、下はスケスケ。物をよく落とし、実にスリリングだ。

 5人では、その足場でやれない。2人が「2階」と呼ばれる少し上にロープで上った。3人でも荷物があるからきつかったが、私は左端に入れたので、大物とのやり取りは可能だった。

 しばらく釣れなかった後、潮が止まりかけたタイミングで“尾長タイム”が突然やってきた。2階の釣友から「尾長が見えた。デカイよ!」と声が飛んだ。潮目を凝視すると60~70センチの尾長グレが、かなり上まで浮上するのを確認。2・5号まで落としていたハリスを素早く4号に交換し、タナを3ヒロにセットした。2・5号で続けていた釣友2人が、連続でハリスを切られた。「尾長に違いない」と緊張が走った。

 私の仕掛けにはアタリがなく「もうアカンか」と、あきらめかけた時だ。止まっていた潮がゆっくりと動きだした。シモリ気味のウキが、ゆっくり入った。軽く仕掛けを止めた瞬間、いきなり竿に来る強烈な引き! 足元の右にある根に仕掛けがこすれているのが伝わったが、4号のハリスを信じて糸は出さず。必死に竿でためて魚の位置を変えた。魚を浮かせては潜られてというやり取りを何度も繰り返した。5分ほど続いた攻防の末、やつはついに観念した。真茶色のパンパンに肥えた魚体を水面で横たわらせた時の感動は、今でも鮮明に覚えている。

※毎月第1木曜日に掲載。

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