急逝のアニマル・ウォリアーさん、最後の来日でビールを飲んだ日のこと…金曜8時のプロレスコラム

Tシャツを交換し30年ぶり再会をビールで祝ったアニマル・ウォリアー(左)とキラー・カンさん(2017年10月11日撮影)
Tシャツを交換し30年ぶり再会をビールで祝ったアニマル・ウォリアー(左)とキラー・カンさん(2017年10月11日撮影)

 伝説のタッグチーム“暴走戦士”ロード・ウォリアーズのアニマル・ウォリアー(本名、ジョセフ・マイケル・ロウリネイティス)さんが亡くなったことが24日、アニマルさんが参戦していた全日本プロレスと新日本プロレスから発表された。60歳だった(アニマルさんの公式ツイッターでの公表を受けた情報で、死因や日時・場所は不詳)。

 最後の来日となった3年前にインタビューできたことが奇跡のように思う。2017年10月11日、東京・新宿区の「居酒屋カンちゃん」で、店主のキラー・カンさん(現役時代はカーン表記、本名・小沢正志、73)と再会を果たしたのだ。2人が会うのはカンさんが現役だった1987年以来30年ぶりだった。その歴史的瞬間を取材させてもらった。

 「世界のプロレス観戦ツアー」の企画で同5日に来日し、高松、京都、東京、福島でサイン会などのイベントを開いたアニマルさん。「どうしてもカーンに会いたい」とリクエストし、帰国前日にカンさんが営む居酒屋で、チームフルスイング(利根川亘代表)がファンイベントを企画したのだった。

 このコラムでも「アニマル・ウォリアーが断言した相撲レスラー最強説」として紹介したが、すでにアーカイブにも残っていないのでこの時のエピソードを紹介しよう。通訳もおらず、記者は私だけで、ブロークン会話で意訳があることをお断りしておく。

 「140キロのカーンをリフトアップしたのを思い出すぜ」とアニマルさん。身長は190センチ超のカンさんの方が高かったが、アニマルは280ポンド(約127キロ)という威圧感ある体形をキープしていた。モヒカンヘアも、まだ逆立たせることができる程度はあった。

 ウォリアーズの相棒・ホークさんは03年に46歳で亡くなっていたが「俺はセミリタイアだけど、まだ現役だ。次に日本に来る時は試合をしたい」と腕や胸の筋肉の張りを誇示していた。

 報知新聞の過去記事を見せると喜んでくれた。一番大きな扱いだったのが1985年3月7日の初来日を伝える翌8日付芸能面。成田空港VIPルームでの来日会見に約50人の報道陣が集まるフィーバーぶりだった。日本で前評判が高かったのは、前年10月からテレビ東京系「世界のプロレス」(当時、毎週土曜午後8時)で全米での暴れっぷりが紹介されていたからだった。

 「すごいだろ。エアポートではマイケル・ジャクソンのような歓待をしてくれたんだぜ。そして、会見しながらビールを飲んだんだ。キリンだったな。日本のビールはうまいんだ」

 「カンちゃん」でも乾杯でジョッキビール(ここではサントリー)を一気飲みし、「ウォリアーズ・スタイル!」と高笑いした。初来日の85年3月9日に全日本プロレスの両国国技館大会で、ジャンボ鶴田&天龍源一郎の鶴龍コンビのインタータッグ王座に挑戦し、日本テレビ系で生中継された(3本勝負で1-1から反則負け)。これは来日第2戦で、記念すべき第1戦は、同8日の船橋市民体育館でのキラー・カーン&アニマル浜口戦だった(3分39秒で浜口を瞬殺)。さらに同14日に愛知県体育館でカーン&長州力を相手にAWA世界タッグ王座を防衛しており、同じく「世界のプロレス」の登場人物だったカンさんの存在はアニマルさんにとって大きかったのだ。

 「長州、鶴田、天龍、輪島、馬場サン…もちろん覚えてるよ」その頃、プロレスに転向した元横綱の輪島大士さんには、プロレスをコーチしたといい「輪島にはコーベビーフをごちそうしてもらったな」と懐かしんだ。この1年後の2018年10月8日に輪島さんは70歳で亡くなっている。

 私が大相撲担当記者だったことを話すと「俺は相撲が大好きなんだ。貴乃花、若乃花、曙、小錦…。よく見に行った。スモウアリーナ(国技館)で試合ができたことを誇りに思ってるよ」とうれしそうに話した。元大相撲担当としてもうれしい話だった。

 「天龍は強かった。カーンも強かったな。彼らは相撲出身だからしっかりしている。テンタ、ハク、バーバリアンも相撲出身だろ」とカナダ出身のジョン・テンタ(琴天山)、トンガ出身のキング・ハク(福ノ島)、コンガ・ザ・バーバリアン(幸ノ島)も評価した。

 アニマルさんが輪島さんとシングルで対戦したことがあった。87年6月11日で、場所は春場所会場の大阪府立体育会館(現エディオンアリーナ)だった(輪島さんが両国国技館で試合することはなかった)。いつもは2人がかりで輪島さんをいたぶっていたはずが、珍しいシングルマッチ。両手で仕切ってからのタックル合戦。相撲と横綱へのアニマルさんのリスペクトがあの試合に込められていたのだった。(酒井 隆之)

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