【箱根への道】王座奪還を狙う東洋大「2冠が目標」西山和弥が持ち帰った大迫イズム

トラックでスピード練習を行う西山和弥。大迫傑らとの練習で進化のきっかけをつかんだ(カメラ・太田 涼)
トラックでスピード練習を行う西山和弥。大迫傑らとの練習で進化のきっかけをつかんだ(カメラ・太田 涼)

 秋の駅伝シーズンを前に、東洋大の選手たちは王座奪還に燃えている。11年連続3位以内という圧倒的な勝負強さを見せてきたが、前回は10位。今年は絶対的エース・相沢晃(現・旭化成)らの卒業、コロナ禍での活動縮小などもあったが、逆境を乗り越えて「2冠」を口にできるまでに成長してきた。男子マラソン日本記録保持者・大迫傑(ナイキ)の下でトレーニングを積んだ西山和弥(4年)の復活もあって、チームは夏合宿で勢いづく。

 しぶとく、じっくりと。今年の東洋大の選手からは、そんな雰囲気がにじみ出ている。コロナ禍での寮閉鎖などもあったが、地道に足をつくって大学に戻る時を待った。一人でしっかり練習できるのも、その選手の力だ。今季のブレイクが期待される児玉悠輔(2年)は「箱根で結果を残すために、ひたすらできることをしてきました」と、3月下旬~8月上旬の長期にわたって地元・仙台の涼しい環境で走り、今月21日の平成国際大記録会5000メートルでは13分台に突入した。

 大会の延期や中止が相次いだ状況を、プラスに変えた選手もいる。西山は1、2年時に連続で1区区間賞を獲得したが、前回は14位。長引く股関節のけがに泣いた経験を踏まえ、今年はしっかりと痛みが引くまでリハビリに専念した。「水泳やフィジカルトレーニングなどで確認しながら、3か月くらい過ごしました」。焦ってレースに間に合わせる応急処置の連続だった昨季に比べて、ゆったりと体を仕上げられ、本来の動きの良さも自然と戻った。

 体を整えた西山は、復活から進化へとテーマを移した。長野・湯の丸高原で8月17~24日に、大迫が主宰するトレーニングキャンプ「シュガーエリート」に参加。「1週間、本当に充実していました」。日本マラソン界を引っ張る男とジョグやポイント練習などを一緒に行い、日々の生活からも刺激を受けた。「特にジョグで一緒に走っていると、背中がすごいんです。弾むのにブレない、しなるような動きは自分に足りないところ。日々勉強でした」と強さのきっかけを手に入れた。

 チームも長野・菅平で夏合宿を行い、距離を踏みつつスピード練習も並行することで質を維持。西山の持ち帰った刺激が原動力になりつつある。「大迫さんは芯があるというか、走りも心もブレないんですよね。僕たちも勝つために必要なことを、そうやって積み上げないといけない」と静かに闘志を燃やす。

 今季のスローガンは「回帰と挑戦」。西山は「強かった頃に戻す、そして新しい東洋をつくるという意味です。柏原(竜二)さん、設楽(悠太&啓太)さん、服部(勇馬&弾馬)さんたちがいた頃のような、何人も強くて速い選手がいるようなチームにしたい」と理想を語る。大学3大駅伝のうち、出雲駅伝は中止となったが、残り2戦は開催へ準備が進む。11日の日本インカレ1万メートルで5位入賞を果たした復活のエースは「去年はチームに迷惑をかけたので、主力として区間賞を取って強い東洋を取り戻す。もちろん、2冠が目標です」。トップでゴールテープを切った時、チームの鉄紺色は再び輝き出す。(太田 涼)

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