羽生善治九段が藤井聡太2冠に公式戦5戦目で初勝利…王将リーグ開幕戦「一生懸命指そうとだけ」平常心で40代ラスト対局飾った

将棋盤を前に熟考する羽生九段(代表撮影)
将棋盤を前に熟考する羽生九段(代表撮影)

 将棋の羽生善治九段(49)が22日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第70期王将戦挑戦者決定リーグの開幕戦で藤井聡太2冠(18)=王位、棋聖=に後手の80手で勝ち、渡辺明王将(36)=名人、棋王=への挑戦権に向けて白星発進した。羽生は、公式戦5戦目で藤井から初勝利をあげた。3冠を目指す藤井は、デビュー227戦目で5度目の連敗(未放送のテレビ棋戦は除く)を喫した。

 勝利を確信した羽生の指先は激しく震えていた。「詰みが見えて、やっと勝ちになったと思いました」。藤井は自らの王将を盤上の端まで泳がせ逃れようとする執念を見せたが、羽生は読み切っていた。藤井は天井を仰ぎ、うなだれた後で投了を告げた。

 平成の大名人と令和の新星が激突したオープニングマッチ。羽生が盤上で表現したのは、勝つことへの情熱だった。後手番での序盤戦。永世7冠資格保持者は、藤井が過去4勝6敗と唯一負け越し、前局でも敗れたばかりだった戦型「横歩取り」に誘導した。「事前に考えていた作戦でした」

 AIを参考にした最新流行型での研究量で勝負するのではなく、経験値と局面理解度が求められる戦いを仕掛けた。「(藤井の前局について)もちろんその棋譜も知っていましたが、同じようにやってもうまくいかないのでちょっと手を変えました」。小学生の頃、憧れの谷川浩司九段が得意とした「横歩取り△4五角戦法」をマネて以来、40年来の蓄積が本局にも生かされた。

 対藤井戦5戦目で待望の初勝利となった。「今までほとんどチャンスらしいチャンスがなかったので、今日は良かったなあと思っています」。今月27日に50歳の誕生日を迎える「リビングレジェンド」が40代最後の勝負を白星で飾った。「特別な何か(思い)はなかったんですけど、一生懸命指そうとだけ」。どんな対局でも、相手が誰でも平常心は変わらない。

 王将獲得は通算12期。1996年には谷川王将(当時)から4連勝でタイトルを奪取し、7冠制覇を成し遂げた舞台でもあるが、2010年に失冠したのを最後に遠ざかっている。「まだ始まったばかりなので、これからだと思っています」。10月に開幕する竜王戦7番勝負でも豊島将之竜王(30)への挑戦を決めている。タイトル通算100期へと疾走するレジェンドに完全復活の香りが漂い始めた。(北野 新太)

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