再建チームの逆襲が10月を熱くする!

アブレイユ(ロイター)
アブレイユ(ロイター)

 フレッシュ、ダイナミック、エキサイティング…。浮かんでくるのはポジティブな言葉ばかりだ。新型コロナウイルスに直撃された60試合の異例なシーズンはしかし、興味深い10月を迎えることになる。ポストシーズンから遠ざかっていた再建チームが次々に名乗りを挙げてくる見通しだからだ。

 ア・リーグで真っ先に決めたのは12年ぶりとなるホワイトソックスだ。しかし、歓喜に浸っている様子はない。「まだ第一歩。我々は前へ進み続けるだけだ」と、リック・レンテリア監督。昨年72勝89敗の地区3位。この7年間で勝率5割を一度も越えたことのないチームでも前評判は高かった。昨季、首位打者に輝いた遊撃のティム・アンダーソンら若手の著しい成長に加え、FAで実績十分のダラス・カイケル、ヤズマ二・グランダルなどを獲得して投打に厚みを増したからだ。

 冷静なのは選手も同じだ。

「やれると信じていた。この2年をみてもしっかりした補強をしていたからね。何かが起きることはわかっていたよ」というのは、この時を予期したようにオフに3年5000万ドルで契約を延長したホセ・アブレイユだ。若手の急成長に刺激を受けたかのような大活躍。51試合消化時点でメジャートップの51打点、2位の17ホーマー、4位の3割2分7厘。MVPの最有力候補に挙げられている。

 チームにはエネルギーが溢れている。アンダーソンは今世紀初の2年連続首位打者に手をかけ、エロイ・ヒメネスはパワーを全開し、ルイス・ロベルトはパンチ力だけでなく抜群の守備力と走力を見せつけて新人王選出濃厚だ。投手陣でもエースに成長し、ノーヒッターまで達成したルーカス・ジオリトだけでなく、新人剛球リリーバーのコディ・ヒューアーらが急成長して大きな戦力になっている。

 パドレスは14年ぶり進出を目前にしている。就任6年目のA・J・ブレラ―GMの試行錯誤がやっと実ったといえるのが今シーズンだ。

 躍進の象徴的存在になっているのが2年目、まだ21歳のフェルナンド・タティスだ。今やメジャーを代表する5ツールプレーヤー。肩まで伸びたドレッドヘアーをなびかせての情熱的プレー。多くのメディアでいま最もエキサイティングな選手と評されている。

 ジェイク・クローネンワースは46試合で3割1分1厘、4ホーマー、20打点で新人王候補だ。派手さではタティスに劣るが広角に打てるのが強み。また、レイズのマイナー時代は大学時代と同様に二刀流としてもプレー。来年以降はメジャーでもピッチングを披露するかもしれないという魅力的な選手だ。

 この若手コンビの他に特筆すべきはトレード期限までの3日間で16選手を放出、右腕マイク・クレビンジャーら11選手をゲットするなど過去に例をみないような大胆な補強だ。ブレラ―GMが就任以来断行してきたトレードの総仕上げといった印象さえ与える。それが悲願のワールドシリーズ初制覇までいけるのか。

 この2チームの他にもクラスターにもめげず大健闘のマーリンズが2003年以来の進出ができそうだし、フィリーズも9年ぶりに滑り込みの可能性がある。

 こうした力をつけた再建チームがドジャース、ヤンキース、カブスといったスーパーチーム相手にどんな試合をみせてくれるのか。16チーム出場のポストシーズンは面白いことになりそうだ。(出村義和=スポーツジャーナリスト)

※記録はいずれも米時間9月18日現在

出村 義和
 (でむら・よしかず)1971年、ドジャースタジアムでMLB初観戦。ベースボールマガジン社でアメリカ総局勤務、週刊ベースボール編集長などを務める。独立後、ニューヨークをフランチャイズに19年間MLBを中心に多岐にわたるジャンルで取材、執筆を行う。帰国後、JスポーツでMLB中継の解説者も務める。

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