「俺だったらめちゃくちゃ悔しい」…日本ハム・西川遥輝の言葉に隠された一流の証

8回2死満塁、左中間に走者一掃の三塁打を放った西川遥輝(カメラ・池内 雅彦)
8回2死満塁、左中間に走者一掃の三塁打を放った西川遥輝(カメラ・池内 雅彦)

 「俺だったらめちゃくちゃ悔しいと思います」

 5日。西武戦(札幌D)のヒーロー、日本ハム・西川遥輝外野手(28)は、自身の決勝打の映像が映し出されたテレビ画面を見つめてつぶやいた。同点の8回2死満塁。中堅後方へと放った大飛球は、前進守備を敷いていた西武の中堅手・金子侑司(30)のグラブに当たって、落ちた。試合を決める走者一掃の3点三塁打となった。

  • 8回2死満塁、左中間に走者一掃の三塁打を放った西川遥輝(カメラ・池内 雅彦)
  • 8回2死満塁、左中間に走者一掃の三塁打を放った西川遥輝(カメラ・池内 雅彦)

 勝利を呼び込む決勝打。お立ち台でファンの大声援に応えた後、会見場に西川はやってきた。赤茶色に汚れ、左膝の部分が破けたユニホームが、全力を尽くしたことを物語っていた。当然、自身が放った決勝打についての質問が殺到する中、なぜ自分から西武・金子のプレーに言及したのか―。

 どうしても気になった。

 翌6日、栗山監督に西川の発言をどう感じるかと聞いてみた。

 「本当にそれは遥輝らしいね」と、少し納得したような表情を見せた後、こう続けた。「宮西の時にあったじゃん。そういうのを遥輝は忘れていないんじゃない?」

 「宮西の時」とは、8月16日のロッテ戦(ZOZO)のこと。5―5で迎えた8回2死二塁のピンチでマウンドには宮西尚生投手(35)。外野手は前進守備を敷いていた。打者・田村の打球は左中間最深部へ飛び、全速力で落下地点に向かった中堅手・西川が差し出したグラブの数十センチ先を通過して、グラウンドで跳ねた。あと一歩のところまで迫ったが届かず、西川はしばらく座り込んだまま動けなかった。

 指揮官は、こう続けた。

 「あれはこっちが(前進守備を指示して)勝負しているから俺の責任。でも(西川は)それを風化させない。1つのミスを。あの時の悔しさを忘れないから、次の日に必死になって練習する。毎日それができるのと、それが消えていっちゃって、何となく練習しているのとは全然違う。それが遥輝があそこまでいった(成長した)理由だと思う」

 8月16日のロッテ戦と似た状況で、西武・金子がリーグ屈指の俊足と高い守備力を持つ点も共通している。全力で背走しながら打球を処理する難しさ、捕球できなかった時の悔しさも分かるから、冒頭のコメントに至った―。それが栗山監督の考えだった。

 妙に納得してしまった。確かに、最近の西川は引きずりまくっていたからだ。2日の楽天戦(札幌D)では、2点を追う9回1死満塁で一ゴロ本塁併殺に倒れて最後の打者となっていた。

 「悔しいし、情けなかった。自分が。控えの選手でああやってつないでチャンス作ってくれて、監督もいろいろな思いで3番に使ってくれている。1点でも返せなかったのが悔しかった」と、後日振り返っていた。「俺だったら―」という言葉も、自身が感じた悔しさが根底にあったのだと思う。

 野球は失敗のスポーツと言われる。一流と呼ばれる打者でも成功は3割にしか過ぎないためだ。だからこそ、失敗といかに向き合い、どう乗り越えていくのかが大切になる。

 西川は言う。

 「ずっと打てればいいですけど、そういうわけではないので。そういう中でも、なんとかやっていかないといけない。そんな簡単に割り切れない」

 失敗を良い意味で引きずって、勝負が決まる一瞬でベストを尽くすために、バットを振り、全力で白球を追いかける。主将、そして1人のプロ野球選手として、指揮官やナインから絶大な信頼を置かれる理由がよく分かった。(日本ハム担当・小島 和之)

8回2死満塁、左中間に走者一掃の三塁打を放った西川遥輝(カメラ・池内 雅彦)
8回2死満塁、左中間に走者一掃の三塁打を放った西川遥輝(カメラ・池内 雅彦)
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