競泳・渡辺一平 肖像権の自主管理、水泳界に新しい可能性を…リレーコラム

スポーツ報知
渡辺一平

 競泳の渡辺一平です。今回からコラムニストとして加入することになりました。五輪まで、どうぞよろしくお願いします。

 延期となった五輪に向けて練習を始める中で、僕はある選択をしました。日本水泳連盟に、肖像権の自主管理を申し出たのです。

 大きな理由の一つは、僕が自立すれば、育成年代の子供たちや学生の競技活動に何かを還元できると考えたことでした。水連に肖像権を預けていれば、大会出場、高地合宿などの水連の強化事業の活動費を補助してもらえます。しかし、自主管理なら補助はなくなります。トヨタ自動車の所属ではありますが、水連強化合宿時の費用など、場合によっては数百万円を自分で負担する可能性があると聞いています。だとしても、僕たち社会人スイマーへの補助を、未来ある小中高生や学生の育成や強化に使ってほしいと思ったからです。

 コロナ禍で生活が変わり、保護者の方の負担が増し、学生の競技活動にも影響が出ています。僕の決断が学生の現実を考えてもらうきっかけになるのではないかと…。このタイミングしかないと感じました。

 もう一つは水泳の価値を高め、盛り上げる上で、自分の意思で行動できる環境を得るためでした。水泳界だけの盛り上がりではなく、水泳が社会の中で果たせる役割があると思いますし、自分自身のアイデアで何ができるかチャレンジしたいのです。今は、子供たちや中高生のためにできることを考えています。

 今年はインターハイをはじめ、中高生の最後の大会が軒並みなくなりました。やるせない思いでいるに違いない彼らが、水泳をもっと好きになれる機会をつくれないか。僕は小6の時に地元・大分のイベントで憧れの北島康介さんと泳いだ経験が、今につながるモチベーションになりました。今度は後輩たちにそんな場をつくってあげたいのです。

 これまで自主管理を認められたスイマーは、プロになった北島康介さんら3人しかいないそうです。今までは肖像権を預けてのアマか、自主管理のプロか、の2択でしたが、僕は新たな選択肢「自主管理の社会人スイマー」を選びました。僕に続くスイマーやこの制度への理解がある人が増えてくれたら、水泳界に新しい可能性が生まれると信じています。

 ◆渡辺 一平(わたなべ・いっぺい)1997年3月18日、大分・津久見市生まれ。23歳。2014年南京ユースオリンピック男子200メートル平泳ぎで優勝。16年リオ五輪で同種目五輪記録、翌年1月の東京都選手権では2分6秒67の世界記録(当時、現在は日本記録)を樹立した。同種目で昨年の日本選手権で初優勝、世界選手権で2大会連続の銅メダル。現在はトヨタ自動車に所属し、スポーツマネジメントをLDH JAPANが行う。193センチ、80キロ。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請