日本ライフル射撃協会は30日、新型コロナの影響で中止になった全国高校選手権の代替大会として、世界初の試みとなるオンライン対戦による競技会の決勝を行った。
公平性を保つために同一の機械で計測して競うエア、ビーム種目に限定して7月25日から予選を実施。上位8人で争った決勝戦は、全国各地に散らばる出場選手をテレビ会議アプリで結び、東京・新宿のジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエアを本部に据えて行ったリモート中継では、BGMを流したりMCを入れるなどして盛り上げた。
ビームピストルの“初代オンライン世界王者”に輝いた森田竜成(大分・由布高)は代替大会の開催を「うれしかった」と感謝。練習の成果を発揮して制した決勝戦を「高校生最後の大会で悔いを残したくなかった」と振り返った。
決勝戦のみ男女混合で行うなど日本協会が策定した独自のルールで実施された今大会。上位3人の表彰ではテレビ画面を通した“エア表彰式”で祝福。優勝者インタビューではテレビ会議アプリの操作に手間取り、スマホを使うなど苦戦も強いられたが、日本協会の松丸喜一郎会長は手応え。「完璧ではなかったものの、実際に見るよりも面白かったというのが素直な感想。コロナ禍での新しい大会方式の試みだったが、大成功だったと思う。(自己採点は)90点を上げたい」と語った。
「3密」を避けた環境で競技会を行ったため、コロナ禍以前は約500人だった参加者は約800人に増えるという思わぬ収穫も得た。アジア連盟副会長を務める松丸会長は、日本、韓国、シンガポール、台湾が参加予定の12月の東アジアユース大会での導入を望み「屋内種目に限ることになるが、東アジアユースで成功させ、アジア連盟から国際連盟に提案したい。ライフル射撃のこの試みが他競技にも広まれば」と語った。