明暗分ける本命チーム ヤンキースとドジャースの夢の対決は実現するのか

好調ドジャースを支えるベッツ(ロイター)
好調ドジャースを支えるベッツ(ロイター)
ヤンキースのブーン監督(ロイター)
ヤンキースのブーン監督(ロイター)

 「これが2020年シーズンだよ、ベイビー」と、ヤンキースのアーロン・ブーン監督は軽い調子で言った。対戦相手のメッツに新型コロナウイルスの感染者が出て3連戦が順延になり、続くブレーブス戦は雨天延期。前日のオフを含めると、5日間も試合のない日が続く。

 「チャレンジだよ」と、リモート会見で語る表情には、その時点で今後19日間に4回のダブルヘッダーを含めて22試合を消化しなければならない強行スケジュールに直面しても余裕が感じられた。ジャンカルロ・スタントン、J・D・ルメイヒューら主力にケガ人が出ても、選手層の厚さがものをいってレイズに0.5ゲーム差で抜かれたとはいえ、16勝9敗の地区2位。ア・リーグ本命らしい展開にブーン監督は十分な手応えを掴んでいたに違いない。

 ところが局面は一変する。グレイバー・トーレス、好調だったザック・ブリットンが相次いで左太もも裏を痛めてIL(負傷者リスト)入り。アーロン・ジャッジも完治したはずの右ふくらはぎを再び痛めてILにUターン。久しぶりの試合となった対ブレーブスとのダブルヘッダー第1試合ではゲリット・コールが3発も浴びて昨シーズンから続いていた連勝は20でストップ。第2試合では田中将大が5回まで無失点の力投。勝ち投手の権利を持ちながらもリリーフ投手が逆転2ランを浴びて今季初勝利を逸するという後味の悪い敗戦。そして、連敗は28日現在7まで延び、首位レイズとのゲーム差は4まで広がった。

 同じ本命のドジャースは対照的だ。メジャーベストの24勝10敗。唯一の勝率7割超えチームで2位パドレスに4・5ゲーム差をつけている。

 西地区のチームはヤンキースのような新型コロナウイルスによる日程変更に悩まされることもなく、ここまで唯一変更となったのは8月23日に発生した警察官による黒人発砲事件の抗議のために選手がボイコットした26日の対ジャイアンツ戦だけだ。これは移籍して早くもチームの顔として大活躍するムーキー・ベッツが声を上げたことにチームメートが呼応して実現したもので、不幸な出来事が逆にチームの結束を強固なものにした。会見ではベッツを始め、デーブ・ロバーツ監督、人種差別問題で積極的な発言を続けるクレイトン・カーショー、さらに抑えのケンリ―・ジャンセンが一列に並んで「連帯、社会正義」を訴えた。

 その結束力は翌日のダブルヘッダーで発揮された。投打が噛み合い7対0、2対0と連続完封勝ち。7回戦の特別ルールとはいえ、ドジャースのダブルヘッダー完封は1971年以来という珍しい記録になった。

 投打ともハイレベル。この調子でいけば、メジャートップの得点数とベストのチーム防御率を記録するだろう。そうなると、1917年のホワイトソックス、1927年のヤンキース、1944年のカージナルスに次ぐ史上4番目の歴史的なチームになる。ちなみに、この3チームはその年のワールドシリーズで優勝を遂げている。

 「今年こそ、1988年以来の優勝」が現実のものになりそうな気配。この夏40年ぶりに開催される予定だったオールスターゲームが新型コロナウイルスで再来年に延期されてしまったこともあり、地元ロサンゼルスの野球ファンのストレスは溜まっているはず。相手がヤンキースなら全米的な大熱狂シリーズになることだろう。両名門の対決が実現すれば、1981年以来ということになる。

 この年も、選手会ストが50日間に渡って決行され、前期、後期に分けた変則的なシーズンとなり、ドジャースが4勝2敗で優勝。シリーズMVPが3人も選ばれるという、これまた例外的な出来事が起こっている。

 ビッグネームが揃い、ストーリー性に富んだ夢の名門対決は果たしてみることができるのか。お楽しみはこれからだ。

(スポーツジャーナリスト)

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出村 義和
 (でむら・よしかず)1971年、ドジャースタジアムでMLB初観戦。ベースボールマガジン社でアメリカ総局勤務、週刊ベースボール編集長などを務める。独立後、ニューヨークをフランチャイズに19年間MLBを中心に多岐にわたるジャンルで取材、執筆を行う。帰国後、JスポーツでMLB中継の解説者も務める。

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