【箱根への道】駒大・大八木監督夫人の「おふくろの味」愛され25年…監修本「駒大陸上部の勝負めし」で明かした食の秘密と苦労

寮母として駒大陸上部を支え続ける大八木京子さん(中央)。「勝負めし」をまとめた一冊も発売になった。左は大八木監督、右は青山主務
寮母として駒大陸上部を支え続ける大八木京子さん(中央)。「勝負めし」をまとめた一冊も発売になった。左は大八木監督、右は青山主務

 駒大陸上部の選手たちを支え続ける寮母・大八木京子さん(56)が監修した「駒大陸上部の勝負めし」(エイ出版社、1300円)が26日に発売された。夫である大八木弘明監督(62)とともに25年にわたって平成の常勝軍団をサポート。厳しいトレーニングをこなすために欠かせない食の秘密が詰まった一冊が出来上がるまでの思いや苦労に迫った。(取材・構成=太田 涼)

 元々、食事はトレーニングの一環、とまでいわれるが、特に長距離選手は消費カロリーが多く、疲労骨折などのけがや貧血といったアクシデントにも見舞われやすい。食を用意する中で、大きな責任も伴う現場で、京子さんは日々メニューを考え、調理している。

 「バランス良く食べてもらうことが大事。その一方で、こだわりは特にないんです。いろいろ考えることはあっても、『絶対にこうじゃないとダメ』と考えてしまうと、こちらも続かなくなってしまいますから」

 大八木監督がコーチに就任した1995年に、京子さんも寮で食事を作り始めた。マネジャーを務めていた経験からある程度の知識はあったが、ゼロからのスタート。戸惑いもあった。

 「初めは手探りでしたね。何もないところから始めたので、独学で調べたり、カロリーを考えたり。そもそも(当時は)20人分の食事を作るということが大変でした」

 それまでは1年生が食事の用意を担当していたが、バランスも悪く、時にはカップ麺で済ませることもあった。京子さんは、食事から選手の体を変えるべく地道に努力を続け、2009年には東京栄養食料専門学校を卒業して、栄養士免許を取得。そのきっかけになったのは、後に2度の世界陸上出場を果たした藤田敦史(現コーチ)の存在だった。

 「箱根駅伝を目指す選手はもちろんですけど、藤田コーチは富士通に所属しながら食べに来ていたので…。世界を目指す日本代表も食べるわけですから、よりよいものを取り入れたかった」

 食事は平日の朝晩、全員分を調理している。朝は5時過ぎから、夕食は午後3時30分頃から準備を始める。さらに、昼食は各自が学食などで食べるため、新入生のために栄養講座も開いている。

 「今は50人近い人数の食事を作るので大変ですね。人が多い分、アレルギーなんかも把握しないといけなかったり。体力的にもちょっと(笑い)」

 今年の3月頃から執筆を始めた「―勝負めし」には箱根駅伝当日のメニューはもちろん、貧血予防、疲労回復、夏バテ防止などさまざまな場面に応じた食事がズラリ。手の込んだこだわりの一品よりも、毎日作ってあげられる“お母さん目線”で構成されている。

 「本当に普通の献立なんです。そんなにすごくない。だからこそ参考にしやすい部分もありますし、特に中高生のお母さんの助けになれたらと思っています」

 さらに、駒大陸上部OB初の五輪マラソン代表となった中村らと京子さんの対談も掲載されている。

 「25年もやっていると、いろんな選手がいたので…。今年卒業した山下(一貴、MHPS)は白いご飯が大好きで、しょっちゅうおかわりしていましたし、宇賀地(強、コニカミノルタ)は野菜嫌い。そんな選手たちも食べて成長してくれたメニューを参考に、食事でサポートしてくれる家庭が増えてくれたらうれしいですね」

 ◆大八木 京子(おおやぎ・きょうこ)1963年9月1日、神奈川県生まれ。56歳。83年に駒大地理学科に入学し、陸上部マネジャーに。実業団を経て24歳で入学した大八木監督とは同級生。卒業後は高校で講師を務め、29歳で結婚。95年から道環寮で寮母を務める。

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05年大会で駒大が優勝し胴上げされる大八木監督。“常勝”の陰には京子さんのサポートもあった
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