初代タイガーマスクと“伝説の空手家”の邂逅…奇跡の握手に「佐山は大丈夫だ」

新間寿氏(右)と握手する山崎照朝氏
新間寿氏(右)と握手する山崎照朝氏

 初代タイガーマスクの佐山サトル(62)が26日、東京・神田明神で「武道精神と日本文化」と題した講演会を行った。現在、原因不明の病で闘病中の佐山が公の場に姿を現すのは今年2月15日のトークイベント以来、半年ぶりとなった。

 体調に不安を抱えている佐山だが、リアルジャパンプロレスの新間寿会長が同席した講演ではタイガーマスクの覆面をかぶり50分間、力強い口調で武道への思いを熱弁。さらに講演後の聴衆へのプレゼントコーナーも参加し1時間に渡り、現在の「初代タイガー」の姿を隠すことなく見せた。

 佐山の熱弁と長男の披露と劇的な展開となった講演会だったが、イベント後にもうひとつのサプライズがあった。

 この講演の聴衆の中に“伝説の空手家”山崎照朝氏(73)がいたのだ。大山倍達が創設した極真空手出身の山崎氏は1969年9月に開催された極真の「第1回オープントーナメント全日本空手道選手権」で優勝、さらにキックボクシングにも挑戦し当時、NET(現テレビ朝日)が放送していた「ワールドキックボクシング」のエースとして10戦8勝(8KO)2敗の戦績を残し、空手家がキックという異種格闘技に挑戦する後のK―1につながる源流を作っていた。その風貌と闘いに惚れた劇画家の梶原一騎が原作した「あしたのジョー」で力石徹のモデルにしたことはあまりにも有名となっている。こうした秘話はこのほど出版された山崎さんを描いたノンフィクション「力石徹のモデルになった男 天才空手家 山崎照朝」(森合正範著。東京新聞出版)でふんだんに描かれている。引退後はボランティアで空手を子供たちに教え、さらに格闘技記者として「東京中日スポーツ」で健筆をふるい73歳の今も現場で取材を続けている。

 山崎氏と佐山は、初代タイガーマスクが日本中に大ブームを巻き起こしていた1981~83年当時に新日本プロレス道場で取材したことをきっかけに知り合い、以来、親交を保っていた。極真とプロレス。分野は違うが当時の佐山を山崎氏は「あの蹴りは本物だったよ。それであれだけの空中殺法ができたんだから、人気が出て当然。佐山は俺が見てきたあらゆる格闘家の中で間違いなく天才だった」と評した。

 今回、佐山の体調不安を聞いた山崎氏は、約半年ぶりに公の場に姿を見せる講演を聴いて佐山を激励したいと駆けつけた。講演後、車いすで駐車場に現れた佐山に山崎氏は近づくと佐山は「山崎さん、ごぶさたしております」と今にも立ち上がろうとして挨拶した。山崎氏は「元気でよかった」と声を震わせると2人はがっちり握手を交わした。

 極真とプロレス。格闘技界を代表する伝説の邂逅。奇跡の瞬間目撃した私も、胸が熱くなった。車に乗って帰路についた佐山を見守った山崎氏は、私にこう言った。

 「握手した手は力強かったぞ。あれだけの力があれば大丈夫だ。必ず佐山は戻ってくる」

 初代タイガーは病に負けない。格闘家だけが分かる境地がそこには流れていた。(記者コラム・福留 崇広)

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