「野球をやろう。公式な試合が待っていなくても」球児を動かした佼成学園・藤田直毅監督の言葉…ルーキー記者が見た高校野球

監督のもとで野球ができてよかった―。西東京制覇を惜しくも逃した佼成学園ナインだったが指揮官に感謝した
監督のもとで野球ができてよかった―。西東京制覇を惜しくも逃した佼成学園ナインだったが指揮官に感謝した

 夏の高校野球がひと区切りつきました。スポーツ報知の高校野球取材班では、ルーキー記者が、甲子園の交流試合や各地の代替大会で初めての取材に臨みました。コロナ禍で思うような練習ができないなか、球児たちが流した汗と涙―。新人記者がコラムで振り返ります。

 口をついた言葉は、生徒への感謝だった。西東京大会決勝で佼成学園は東海大菅生に挑んだ。9回2死まで17年夏の甲子園4強校をリードするも10回タイブレークの末に惜敗。46年ぶりの西東京制覇を目前で逃した。試合後の監督取材、快挙を目前で逃した悔しさをにじませるのが当然の場面だが、藤田直毅監督(57)は「選手たちに感謝したい。試合前に3年生37人にシートノックする時間が幸せだった」。横で取材を受ける選手たちに優しいまなざしを向けた。

 試合前、スタンドにいた3年生部員が、甲子園中止が正式発表された5月20日に監督から届いたメッセージを見せてくれた。

 「今日、夏の甲子園大会中止が決まった。私は高校時代、監督との信頼関係を失い、高校野球の最後は最悪だった。それでも甲子園を目指す、最後の試合を迎えることはできた。でも今年はその甲子園がない。言葉がない。どこにもない。

 でも人生は続く、続くんだよ。学校が再開したら、野球をやろう。公式な試合が待っていなくても、最後まで高校野球をしっかり終えよう。仲間たちと一緒に」

 監督の選手への愛に、心が震えた。「監督は熱い人です。監督のもとで野球ができて良かった」。部員の笑顔がまぶしかった。紙面で紹介することはかなわなかったが、ネットで「藤田直毅監督からのメッセージ」という題で紹介した。

 翌朝、携帯電話の着信音で目を覚ました。「佼成学園の藤田です。記事を拝見しました。感動しました。大切なことに気づかせていただき、ありがとうございました」。相手がどんな相手でも敬意を払い、感謝の気持ちを示す。そこには年齢は関係ない。互いを尊敬する監督と選手から、大切なことを教えてもらった1年目の夏だった。(内田 拓希)

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