吉川美南・関根麻人主将、部員1人から“3つの奇跡”でたどり着いた最後の夏…ルーキー記者が見た高校野球

松下監督(左)と二人三脚、ついに単独チームでの出場がかなった関根主将
松下監督(左)と二人三脚、ついに単独チームでの出場がかなった関根主将

 夏の高校野球がひと区切りつきました。スポーツ報知の高校野球取材班では、ルーキー記者が、甲子園の交流試合や各地の代替大会で初めての取材に臨みました。コロナ禍で思うような練習ができないなか、球児たちが流した汗と涙―。新人記者がコラムで振り返ります。

 大量失点にも、埼玉・吉川美南の中堅手・関根麻人主将(3年)は笑顔を絶やさなかった。最後の夏、初めて単独チームとして出場。スコアボードに「吉川美南」の文字があるだけで「うれしかった」。4回にはライナーに飛び込み好捕。「ピッチャーが苦しそうだった。絶対捕ろうと」。無安打で0―13の5回コールド負けだったが、それ以上に全員野球を楽しんだ。

 異例の夏に「奇跡」を見た。学校統合などを経て、正式に野球部ができたのは関根が入学した18年。1年秋から翌春まで部員が1人の時期もあった。練習は松下祐樹監督(32)と2人きり。これまで連合チームでの出場だったが、この春はコロナの逆境にも負けず新入生を勧誘。8人の1年生と定時制の選手を迎え、チームを組むことができた。

 試合前のベンチ。指揮官がナインにかける言葉を耳にした。「全員ここで野球ができるなんて奇跡だよ。思いっきり楽しんでこい!」。部の存続、独自大会の開催、単独チームでの出場。3つの「奇跡」で得た喜びを、80分間かみ締めた。

 監督と二人三脚の3年間。視線だけで会話を交わす様子に、絆を感じた。「明るく楽しくできた。(後輩には)最後まで頑張ってほしい」と充実した表情で次世代へバトンを渡した主将。真新しい歴史の一ページを作り、全力で野球をやり切った姿はまぶしかった。

 2か月間の高校野球取材。一人一人に違った物語があり、全員が主役だった。必死にペンを走らせたスコアブックをめくると、この夏に見た激動がよみがえる。いくつものドラマが胸を熱くし、そして記者としての自分を成長させてくれた。最後の一瞬まで、輝きを放つ球児たちを全力で追いかけた夏だった。(小口 瑞乃)

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 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

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