置かれた場所で咲く― 日本ハム・松本剛を支える変化「野球は流れのスポーツなんだ」

松本剛
松本剛

 気持ちの準備は整っていた。2番に置かれた自分の役割を理解して、松本剛外野手(27)は確かな足取りで打席へと向かった。「監督からも動きがあると直接言われていたので、準備はしていました」。22日の楽天戦(札幌D)、初回無死一塁。初球、ベンチのサインは奇襲とも言えるバスターエンドランだった。高めに入った直球をたたいて三遊間を破り、無死一、三塁。西川、中田の連続適時打を呼び込む働きだった。

 チャンスを生かすための準備は、試合前から始まっていた。この日、今季初めて3番に入った西川からは「一、三塁を作れ」とハッパをかけられ、すぐに1番打者の杉谷に声をかけた。「何とか初回に一、三塁を作りましょう」―。すると、杉谷は痛烈な右前安打でチャンスメイク。松本も続き、打ち合わせ通りの理想の形ができた。

 置かれた場所で咲く―。この日、猛打賞の活躍を見せた背番号12を見ていたら、その言葉が頭をよぎった。17年にはプロ最多115試合に出場したが、今季は55試合目時点で先発出場は10度目だった。当時より技術が伸びている自信はあったが、出場機会は減っていた。現状を打破するために、先発を外れた試合ではベンチから試合を注意深く観察した。チームのために自分は何ができるか―。思案を続けるうちに、ある気付きがあったと言う。

 「改めて、野球は流れのスポーツなんだと感じるシーンがすごく増えた。(試合の)流れを自分なりに読む。それが正解かは不正解かは分からないけど、試合に出ていない時の方が流れを感じる。何でいまはこっちの流れなんだろう、と思えるようになってきた」

 その変化は、大きくプラスに働いた。先発出場だけでなく、代打、代走など多岐にわたる起用でも、試合の流れを自分なりに理解してグラウンドに立つ。「スタメンで行きたい気持ちは常に持っている。いつでも行けって言われたら行ける準備は常に意識している。そこでスタメンじゃなくても、自分らしくできることがある」。その時、その場所で自分が果たすべき役割が明確だからこそ、迷わない。

 23日の同戦も、松本は2日連続のスタメンに抜てきされた。両チーム無得点の6回1死の第3打席。「どう考えても流れはこっち。(6回2死満塁の)ピンチをしのいだ後のあの回。なんとしてもってところでたまたま、いいところに落ちてくれた」と、詰まりながらも中前安打で出塁。その後、先制のホームを踏んだ。7回1死一、二塁では走者一掃の2点三塁打。2安打2打点の活躍で、試合後は今季初のお立ち台に選ばれた。「何で僕がヒーローなんだろう」。謙虚な言葉が、詰めかけたファンをさらに魅了した。

 「僕は任されたところで一生懸命やるしかない。それが少しでもチームに貢献できればいい」。置かれた場所で、自分の仕事に徹する。それがチームの勝利につながることを、松本は知っている。(日本ハム担当・小島 和之)

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