田中希実「天国に届けたかった」 “第二の父”に捧げた1500m日本新

セイコーGGP女子1500メートルでの日本新記録から一夜明け、笑顔を見せる田中希実
セイコーGGP女子1500メートルでの日本新記録から一夜明け、笑顔を見せる田中希実
4分5秒27の日本新記録で優勝した田中希実
4分5秒27の日本新記録で優勝した田中希実

 23日のセイコー・ゴールデングランプリ陸上女子1500メートルで4分5秒27の日本新記録をマークして優勝した田中希実(20)=豊田自動織機TC=が24日、取材に応じた。

 快挙から一夜明けたが、興奮が冷め切らない表情の田中。「疲れはそこまで感じていないです。興奮してあんまり寝られませんでしたけど…」。7月のホクレンDCでは3000メートルでも日本新記録を樹立したが「あの時より、1500メートルの方がうれしいですね」と笑顔を見せた。

 どうしても、雄姿を見せたかった。指導する父・健智さんの仕事仲間だったスポーツ店経営の三浦誠司さんが7月末に亡くなった。「父が企画するランニングイベントなどで、小さい頃からお世話になっていました。走ることが一番楽しかった時期をともに過ごした人」。出場したホクレンDC4戦中にも差し入れが届き、お礼の電話をしようとした矢先に入った訃報。「日本新を天国に届けたかった」と“第二の父”への思いも胸に秘めて、新国立を駆け抜けた。

 だが、レース前は不安も心でくすぶっていた。前日練習や当日の朝練習は動きが固く、悪い感触がぬぐえないままだった。一方で、周囲からは期待が寄せられる。「誰も前で引っ張ってはくれないと思っていたので…。この状態で、自分で先頭で行くにしても怖いというのがあったし、かといって誰かの後ろについたら日本記録は出ない」。迷う20歳を救ったのは同じ兵庫・小野市出身で同種目日本記録保持者だった小林祐梨子さんだった。「祐梨子さんとはレース当日もメールのやりとりをしていて、『不安もあるけど、記録は気にせず楽しみます』と伝えたら『それが一番大事だから』と言われて、記録を無視する覚悟ができました」と腹をくくり、レース内容を忘れるほどの高い集中力で大記録につなげた。

 レースでは、使用予定だったシューズが800メートル以上の種目では靴底が2・5センチ以内でなくてはならないという世界陸連の新規定に沿わないと判断され、急きょ変更。父・健智さんがホテルへ走って戻り、規格に合ったスパイクをレース直前に届けるアクシデントもあった。「練習でスパイクも使っていたので、慣れてはいた。ただ、バタバタした流れに少し揺らいでしまった部分はあった」。それでも、今季の好調ぶりは止まらなかった。

 休む間もなく、25日から三重・御嶽山での合宿がスタート。10月の日本選手権で1500メートル、12月の長距離種目の日本選手権で5000メートルの2冠を目指す。本職の5000メートルでは05年に福士加代子(ワコール)が樹立した14分53秒22の日本記録も視野に入るが「まずは15分を切ること」と日本歴代2位の自己記録である15分0秒01の更新を狙う。

セイコーGGP女子1500メートルでの日本新記録から一夜明け、笑顔を見せる田中希実
4分5秒27の日本新記録で優勝した田中希実
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