【森永卓郎の本音】コロナ対策は第2の敗戦

森永卓郎氏
森永卓郎氏

 太平洋戦争で日本は300万人近い人命と国富の4分の1を失った。日米開戦に一貫して反対していた山本五十六連合艦隊司令長官は、真珠湾攻撃を仕掛けたが、その目的はあくまでも、日本に有利な状況を作って、「短期決戦・早期和平」を目指すことだった。日中戦争で体力をすり減らしていた日本が戦争を続ければ、日本に致命的な被害が出ることを知っていたのだ。結局、日中戦争の開戦から太平洋戦争の終戦まで、8年間にわたる長期戦によって、日本経済は破滅した。

 いまの日本は、コロナとの闘いで、同じ轍(てつ)を踏もうとしているのではないか。日本感染症学会の舘田一博理事長は、8月19日の講演で「今まさに第2波の真っただ中にいる」との見解を示した。ところが、政府はいまだに第2波だと認めていない。それどころか、観光客の持ち込んだウイルスで感染爆発を起こした沖縄県に対して緊急事態宣言を出さず、それどころか「Go To トラベル」キャンペーンを継続している。

 コロナとの闘いは、長期戦になるから、経済との両立を図らないといけないということなのだろう。ただ、いまのような無策を続けると、日本経済は疲弊する一方だ。例えば、4~6月期の連結決算で、JR上場4社と大手私鉄15社は、全社が最終赤字に転落した。夏休みも続いた自粛によって、7~9月期も回復は見込めない。こうした状態が続けば、不採算路線が廃止されるか、料金の大幅な引き上げが避けられなくなる。

 経済学者のアービング・フィッシャーは、「経済は鞭(むち)のようなものだ」と言った。普通は、ある程度の力が加えられても、戻ろうとする力が働くが、限界を超えて力を加えると、ポキリと折れて二度と戻らなくなる。いま日本経済は、折れる寸前まできている。(経済アナリスト)

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