◆JERAセ・リーグ 巨人2―0阪神(20日・東京ドーム)
巨人が歴史的な虎狩りだ。戸郷が7回途中まで3安打で自己最多の11三振を奪い今季6勝目。7回のピンチを火消しした高梨から中川、デラロサとつなぐ無失点リレーで、坂本がたたき出した2得点を守り抜いた。同一カード3連戦のオール無失点勝利は1995年以来、25年ぶりの快挙で、今季本拠東京Dでの「伝統の一戦」は6戦全勝。30勝に両リーグ一番乗りで、貯金を今季最多の13とした。
戸郷が圧巻の奪三振ショーで、猛虎打線をねじ伏せた。2回1死から連打でピンチを背負ったが、ここを切り抜けると「初回、2回とランナーを出した。三振を取っていくのが自分も野手の方も楽だと思う」と気持ちを入れ替えた。3回から6回までは12個のアウトのうち7個を三振で奪い、一人の走者も許さぬ快投を披露。自己最多となる11奪三振をマークし、自身3連勝で菅野に次ぐリーグ単独2位の6勝目を挙げた。
らしさ全開だった。プロ初となる中5日での先発登板となったが「試合でいっぱい投げたい思いがあったので、気にならず投げられました」と意に介さなかった。1点リードの7回2死一、三塁で高梨にバトンを託すと、先輩左腕が無失点で切り抜け、ベンチでハイタッチ。「なんとか抑えてくれという気持ちで祈りながら待ってて、三振で抑えてくれたので『よっしゃー』と。うれしかったですね」と感謝。宮本コーチも「今シーズンで一番良かった」と大満足だ。
球団の3連戦全完封勝利は95年7月18~20日の阪神戦以来25年ぶり。快挙へと導いた20歳に、原監督は「一つずつ階段は上っていっているというところですね。でも、もっともっと大きな投手になることが彼の目標ですから。その辺は、これくらいにした方がいいでしょう」とさらなる成長に期待した。
今も昔も、追いかけ続けるのは大エースの背中だ。小学生の時に菅野の浪人時代のドキュメンタリー番組を見て、野球に対する姿勢や考え方に目を奪われた。「原監督の甥っ子ってこともありますし、当時も注目されていた。周りからも厳しく見られるはずなのに、普通にプレーできているのはすごい」。プロ入り前から周囲の期待に応え、重圧をはねのけて結果を残す姿は、戸郷少年の心にも深く焼き付いた。
入団後も、先輩となった菅野から少しでも学ぼうとYouTubeで動画を見ては自らを奮い立たせた。「ほれますよね。見てて飽きないんです。こんな投球できたらなって思わされる」。開幕から8連勝中とチームを引っ張る大黒柱に負けじと輝きを放ち続けている。
これでチームの貯金は背番号と同じ今季最多の13。「菅野さんも連勝続きで、僕もそれに乗っていけるようにと思いながら毎日やっている。背中を追っていきたい」。その存在感は、日に日に大きくなっている。(河原崎 功治)