◆2020年甲子園高校野球交流試合第6日(17日)
池田(徳島)で甲子園夏春連覇を経験している巨人・水野投手巡回コーチが、4月から兼務するスカウトとして2020年甲子園高校野球交流試合を視察。注目選手や久しぶりの甲子園の感想を聞いた。
慣れ親しんだ甲子園も、スカウトとして来るのは今年が初めて。不思議な感じがします。視察は1球団2人までと決まっていたので、巨人は試合ごとの担当制を敷き、私は9試合をチェックさせていただきました。
これだけ歓声が少なく、静かな甲子園というのは異様な感じがしました。あの大歓声が後押しして、終盤の大逆転劇が起きたりしてましたが、今年はすんなりと終わる試合が多かった。甲子園に棲(す)んでいる魔物というのは、球場の雰囲気や声援なのかなという気がしました。
インパクトを受けた選手は、投手では明石商・中森と中京大中京・高橋でしょう。中森は真っすぐだけじゃなく、変化球もしっかり使いながら大人の投球ができていた。高橋も実戦経験豊富で球威も十分。完成度の中森とボールの力の高橋。この2人は高校生の中では別格でした。
智弁和歌山・小林も素晴らしいボールを投げ込んでましたし、日本航空石川・嘉手苅(かてかる)も大きな体から角度のあるボールを投げてました。県大会を視察した時は、腰痛の影響で球速も140キロに届かなかったんですが、甲子園では145キロを計測。1回、2回だけの視察は怖いなと思わされました。
打者は甲子園での1試合だけで評価するのは難しいですが、明石商・来田、中京大中京・中山のセンスの良さが光りました。特に中山は飛距離も出るし、スピードもある。スケール感があります。今年は中山以外にも東海大相模・山村、仙台育英・入江、智弁和歌山・細川らショートに好素材がそろいました。3盗塁刺を記録した履正社・関本も見逃せません。1試合きりの大舞台で結果を残せるあたりは、何か持っているのかもしれません。(談)