【阪神】岩田稔、同じ1型糖尿病患者の仙台育英・松本京太郎にエール「全て出し尽くすつもりで頑張って」6年前テレビ企画で対面

14年夏に甲子園で対面した岩田稔投手と松本京太郎
14年夏に甲子園で対面した岩田稔投手と松本京太郎

 阪神・岩田稔投手(36)が13日、自身と同じ1型糖尿病と闘いながら、甲子園交流試合に出場する仙台育英・松本京太郎外野手(3年)に熱烈エールを送った。2人は14年8月に「24時間テレビ 愛は地球を救う」の企画で対面。病に打ち勝ち、野球に真摯(しんし)に取り組むことを誓い合った。6年の歳月を経て、ベテラン左腕は同志の晴れ舞台を見守ることを約束。松本外野手も14日の倉敷商戦での恩返しにつながる全力プレーを約束した。(取材=長井 毅、表 洋介)

◆岩田「京太郎に負けない」

 互いを励まし、共闘を誓った仲間が聖地の土を踏む。岩田はまだあどけない松本少年の姿を思い出しながらエールを送った。「1試合だけど、全てを出し尽くすつもりで頑張って欲しい。本当なら僕も生観戦したいし、宿舎に乗り込んで言葉をかけたいぐらい。コロナ禍でかないませんが、テレビ、動画で京太郎のプレーを見させてもらいます」と声を弾ませた。

 2人は6年前の夏に、甲子園で対面。インスリン注射の回数やタイミングについて助言し、ブルペンではキャッチボールも行った。

 「まだ小さかったけど、良い球を投げる。僕の小学生の時と比べても、相当すごいと思いました」

 その後、連絡を取り合うことはなかったが、岩田は日頃から「松本京太郎」をスマホで検索し、動向を追ってきた。仙台育英に進み、今春のセンバツ出場を決めたことも把握していた。だがその後、大会は中止に追い込まれた。

 「センバツに京太郎が出場することを楽しみにしていた。だから本当に残念だった。これは他の3年生にも言えることですが、全国大会への出場機会を失って、進路にも影響が出るんじゃないか」。自身も高校2年の冬に1型糖尿病を発症し、社会人チームへの内定を取り消された。急きょ関大に進み、その後プロの扉を開いたが、現役高校生の置かれた現状は人ごとではない。

 岩田は元巨人のガリクソンが1型糖尿病と付き合いながらマウンドに立ち続けたことを知り、勇気をもらった。現在は右脇腹痛から戦列復帰を目指すが、ユニホームを着続けることで、ファン、そして闘病患者に希望を与える使命を感じてきた。「故障前も投球自体の調子は悪くなかったので。自分も京太郎に負けないように、甲子園で投げる姿を見せたい」。憧れのまなざしを注がれた少年の成長が、また左腕を強くする。

◆京太郎「頑張っている姿見せられたら」

 6年前に勇気と希望をもらった甲子園に帰ってくる。15日の倉敷商戦を前に、仙台育英・松本は胸を高鳴らせた。「岩田投手は偉大というか、雲の上の人。病気のこともありますけど、頑張っている姿を見せられたら」。ベンチ入りメンバーとして初めて迎える聖地での戦いに力を込めた。

 9歳で1型糖尿病を発症し、一度はどん底に突き落とされた。そんな時に主治医の先生や両親から不屈の左腕の名を知らされた。「病名を言われた時は終わりかな、もう野球はできないのかなと思った。前を向けたのは岩田選手の存在が大きかった」。14年夏にキャッチボールをした際のボールの勢いは忘れられない。

 今でも1日4度のインスリン注射が欠かせない。親元を離れ、仙台育英に入学後は1人で対処してきた。「ずっと目標にしていた舞台。日本一を狙うことはできないけど、しっかり1試合に全てを出せる準備をして挑みたい」。恩返しの思いを秘め、集大成の戦いに臨む。

 ◆岩田 稔(いわた・みのる)1983年10月31日、熊本県生まれの大阪府育ち。36歳。大阪桐蔭高から関大を経て、05年ドラフト希望枠で阪神に入団。3年目の08年にプロ初勝利を挙げるなど10勝(10敗)をマーク。09年にはWBCに出場し、世界一を経験。17年に1型糖尿病患者との交流や根治活動が認められ、報知新聞社制定「ゴールデンスピリット賞」を受賞。1軍通算192試合に登板し、59勝80敗、防御率3・33。179センチ、95キロ。左投左打。

 ◆松本 京太郎(まつもと・きょうたろう)2002年5月9日、埼玉・長瀞(ながとろ)町生まれ。18歳。長瀞ジャイアンツで小2で投手として野球を始める。深谷彩北シニアで投手兼三塁手。仙台育英では2年秋から外野手としてベンチ入り。50メートル走6・0秒。遠投100メートル。173センチ、70キロ。家族は両親、弟、祖母。AB型。

 ◆1型糖尿病 すい臓のインスリンを作り出す細胞が破壊され、食事から得られるエネルギー(ブドウ糖)を体内の細胞に取り込めなくなる病気。不足したインスリンを日々の注射で補い、血糖値を下げる必要がある。1988年から2年間、巨人で活躍したビル・ガリクソン投手は、この病気と闘いながら日米通算183勝を挙げた。小児を含めてあらゆる年齢で発症する可能性があり、食生活や肥満など生活習慣が原因となる「2型糖尿病」とは区別される。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請