◆2020年甲子園高校野球交流試合第3日(12日)▽第1試合 中京大中京4X―3智弁学園=10回タイブレーク=
中京大中京の高橋宏斗の兄・伶介さん(23)が試合後、スポーツ報知の電話取材に応じた。
伶介さんは弟の晴れ舞台をスタンドから見守った。「甲子園は特別な場所。家族の夢だったので、うれしかったです」。
高橋は10回11奪三振149球の熱投で、チームをサヨナラ勝利に導いた。「すばらしい。ベストピッチングだった。めちゃくちゃ褒めてやりたいです」と声を弾ませた。
昨秋の新チーム結成から公式戦は負けなしの28連勝。「宏斗は悔しい思いも人一倍してきた。その思いをバネに頑張ってきた結果が無敗達成につながったと思う」と、悔しさを乗り越えた弟をねぎらった。
4月から新社会人生活が始まる予定だった伶介さんは新型コロナウイルスの影響で4、5月の2か月間、在宅研修となり、愛知県内の実家へ帰宅。コロナ禍で全体練習ができない高橋と7年ぶりに共同生活を送った。
昨年の11月まで慶大野球部で投手としてプレーした伶介さんは、慶大式の練習やトレーニング法を伝授。どうしてこの練習メニューが必要なのか、しっかりと理屈を持って取り組むことを意識させた。
野球のこと以外でも高橋をサポート。「4月初めはお菓子ばかり食べていたから、注意したんですよ」。体重を増やすためにスナック菓子を食べていた高橋に食事のとり方、プロテインの効果的な摂取方法などを教えた。
食事面では母も協力、父も仕事がない日は練習を手伝うなど、家族一丸となって高橋をサポートした結果、体づくりは成功。体重も増え、球質は良くなり、球威が増した。家族の支えもあり、高橋は聖地で躍動した。
伶介さんは甲子園のマウンドに立つ高橋の姿を見て、人間的な部分での成長を感じた。「エースとして、背中でチームを引っ張っていた。野球以外の部分でも尊敬される人間になってほしい」と弟に期待を込めた。
夢舞台での戦いは終わったが、高橋の野球人生はまだまだこれからだ。「(大学かプロか)どこに進んでも、家族全員で支えていきたいです」。今後も家族のサポートを受けながら、高橋は次のステージでも輝くに違いない。(灰原 万由)