◆JERAセ・リーグ 広島1―5阪神(9日・マツダスタジアム)
完璧だった。大山はスタンドインを確信し、悠然と走り出した。「チームの流れは良くなかったですけど、流れを変える大事な仕事ができたと思う」。1点リードの8回2死。一岡の初球、123キロスライダーを振り抜いた。左翼席上段に突き刺さる2戦連発の10号ソロ。24試合ぶり今季2度目の猛打賞で、阪神生え抜きでは鳥谷(06~10年、現ロッテ)以来の3年連続2ケタ本塁打に華を添えた。
2回先頭。左中間への二塁打で先制点を演出すると、3回には左翼へ決勝の適時三塁打。サイクル安打まではあと単打だけだった。大山が4番に入って打点を挙げた試合はこれで11勝3敗の勝率7割8分6厘。3度の勝利打点は糸井に並んでチーム最多だ。「(4番の)自分が打てば勝ちにつながるし、打てなかったら負ける。そういう立場にいることは分かっている」。昨季は将来を見据え“打たせてもらった”4番。だが今季はベンチスタートから「結果」で奪い返した。疲れのたまる夏場は湯船につかりながら頭に冷水シャワーを浴びてリフレッシュ。心身とも最善の形を整えている。
主砲の働きもあり、連敗中だったチームは5位転落を阻止。日曜日は6連勝となった。試合前に連日の直接指導を行った矢野監督は「スイングしてる形も良くなってきている」と復調気配の背番号3をたたえた。「今日は今日で終わり。また一から準備していきたいと思います」と大山。重責をはねのけ、たくましくなってきた。
(中村 晃大)