18歳早大生の新女流棋士・和田はなさん 同い年の藤井聡太棋聖を「同世代と考えたことないです…」

スポーツ報知
仲良し姉妹として知られる和田あき女流初段(右)と和田はな新女流2級

 日本将棋連盟は7日、付属の育成機関「関東研修会」に在籍する和田はなさん(18)が9月1日付で新女流棋士(女流2級)になると発表した。姉は和田あき女流初段(22)で、4例目の姉妹女流棋士が誕生することになった。早大1年生で米国在住歴もある和田さんは「姉を女流棋士としても、人としても尊敬しています」と語っている。

 女流棋界に新しい「華」が仲間入りすることになった。来月から女流棋士デビューする和田さんは、発表の時を姉と一緒に分かち合い「小さい時から目指してきた世界なので、とてもうれしいです。少しでも活躍できるように頑張りたいです」と初々しく抱負を語った。

 女流棋士になるには複数の資格規定があるが、和田さんは「研修会でB2クラスに昇級(資格取得時点で満27歳未満の女性)」の規定をクリア。7月26日の関東研修会での4連勝で昇級を果たし、女流棋士資格を申請した。9月から対局や普及などの活動を開始する。

 女流棋士姉妹は大庭美夏女流初段(51)・大庭美樹女流初段(49)、中倉彰子女流二段(43)・中倉宏美女流二段(41)、里見香奈女流名人(28)・里見咲紀女流初段(24)に続く4例目。和田さんは仲良しの姉を「ずっと上にいた人なので女流棋士としても、人としてもとても尊敬しています」とリスペクトする。「姉がいると思うと心強いです」

 アマ五段の父・大さん(47)、兄の大地さん(24)、そして姉が指す姿を見て、5歳から将棋に夢中になった。弱冠9歳で研修会に入り、12歳で女流アマ名人になる偉業を果たしている。父の転勤で中2から高2までは米ヒューストン在住。一時は女流棋士になる夢を保留したが「帰国して研修会で真剣勝負を指したら楽しくて…。自分もなりたいなって」と覚悟を決めた。海外普及活動での活躍も期待されるが「英語に自信があるわけではないですけど、自分にできることを見つけたいです」と決意する。今は大学でスペイン語のオンライン授業を受けるのが何よりの楽しみになっている。

 学年は和田さんがひとつ上だが、藤井聡太棋聖と同じ2002年生まれでもある。「藤井先生を同世代と考えたことはありません。強さはもちろん、立ち居振る舞いや謙虚な姿勢など、いつも素晴らしいなと思っています」。目標を「まだ差はありますけど、タイトル保持者の方と対戦できるところまで行かなくちゃ」と語りながら、対戦の先にある夢も胸に秘めている。

 趣味はプロ野球観戦。年間数試合は球場に足を運び、テレビ中継も毎日のようにチェックしている熱烈な巨人ファン。推し選手は6日に投手起用が話題になったばかりの増田大輝内野手だ。「点差が開いているとはいえ、本当に投げたのでビックリしました…けど、抑えたのでさらにビックリしました」。9月になれば、和田さんも盤上という名のマウンドに上がる。見る者を驚かせるための舞台は手に入れた。(北野 新太)

 ◆和田 はな(わだ・はな)2002年1月14日、埼玉県和光市生まれ。18歳。藤倉勇樹五段門下。5歳で将棋を始める。小6時に小学生女子名人、中1時に女流アマ名人に。米国在住時に全米将棋選手権で優勝。細田学園高(埼玉)では全国高校女子選抜優勝。現代将棋界では珍しい居飛車5割、振り飛車5割のオールラウンダーで、得意戦法は中飛車。小学生の頃から尊敬する棋士は久保利明九段と菅井竜也八段。アマチュア枠で参加した女流棋戦では通算3勝6敗。早大社会科学部1年。

 〇…姉の和田あき女流初段は、女流棋士になることが決まった妹を祝福しつつも「いつかは姉妹対決もあるのかなー、なんて今からドキドキしています」と早くも対戦をイメージ。デビューした2014年度にマイナビ女子オープンの挑戦者決定戦に進出した実績があり、テレビの聞き手などでも活躍している。はなさんとは仲良し姉妹として知られるだけに「一緒に頑張っていけたらと思っています」と共闘を誓っていた。

 ◆将棋の姉妹・兄弟・兄妹棋士 姉妹棋士は先述の4例。兄弟棋士は森安正幸七段(73)・森安秀光九段(故人)、畠山成幸八段(51)・畠山鎮八段(51)がいる。畠山兄弟は史上唯一の双子棋士。また兄妹棋士は村田智弘七段(39)・村田智穂女流二段(36)、中村亮介六段(34)・中村桃子女流初段(32)の例がある。

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