【2009年8月8日】え、都内で出頭? 張り込み先の山梨で脱力した逃走6日目のアイドル逮捕劇

山梨・身延駅前で取材する報道関係者(2009年8月)
山梨・身延駅前で取材する報道関係者(2009年8月)

 あの日も土曜日だった。山梨県南部の山あいの町、身延町は日が暮れた後も、うだるような暑さだった。

 女優・酒井法子出頭、出頭先は都内―。TBSの安住紳一郎アナウンサーが速報で伝えるテレビの映像は、今も残像のように残っている。

 覚醒剤取締法違反容疑で逮捕状が出ていた酒井が午後8時前、弁護士、親族らに付き添われて警視庁の施設に出頭し、逮捕された。当時の夫が同容疑で現行犯逮捕後、消息不明になって逃走6日目の逮捕劇。その時間帯で唯一の報道・情報番組だった「情報7days ニュースキャスター」では繰り返し、このニュースを伝えた。

 人口1万5000人ほどの小さな町で、先輩カメラマンと共にこの事実を知った。「携帯電話の電波が山梨・身延町付近で途切れた」「山梨・身延町の宗教団体の施設に身を寄せている」とテレビ、夕刊紙で報道され、4日が過ぎようとしていた。全くの見当違いだったが、現地にいた100人近い報道陣からは安どの声が漏れた。同時に、急激な疲労感に襲われたのを覚えている。

 記者にとって、体力勝負の4日間になった。8月5日朝に合成麻薬MDMAの服用と保護責任者遺棄致死罪で有罪判決を受けた押尾学の送検を確認すると、三田署から在来線で身延町へと向かった。一泊し、町内を捜し回ったが不発。取材を終えた6日夜、帰京する途中で、酒井の当時の所属事務所の社長の会見に直行した。7日に再び山梨へ飛び、都内と身延町を2往復することになった。

 その間、多くの喜怒哀楽も見た。消息不明の酒井に、「一刻も早く出てきて」と呼びかけた事務所社長の悲痛な叫び。大挙として現れたマスコミに対する、町民の怒りと戸惑いの声。突然の繁盛を喜び、手を差し伸べてくれた町の居酒屋の店主の優しさ。世間は夏休み真っただ中。道中、家族連れの楽しそうな声が耳に残っている。

 酒井が保釈され、会見を開いたのは9月17日。逮捕から40日が経過していた。押尾の件と並行して進み、酒井関連の張り込みは年内いっぱい続いた。「のりぴー世代」でない私は、保釈時に「やっぱりかわいい」「きれいだ」と先輩記者たちが口をそろえていた心境を理解できなかった。しばらくの間、妙な虚無感から抜け出せなかった。(加茂 伸太郎)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請