競歩・鈴木雄介、“普通の人なんだよ”…リレーコラム

鈴木雄介
鈴木雄介

 男子50キロ競歩代表の鈴木雄介です。今回から1年間、コラムを通して皆さまにいろいろと考えをお伝えできればと思っています。よろしくお願いします。

 さて、本来は8月7日が五輪本番のはずでした。まずは中止でなく延期で良かった、と受け止めています。延期が決まって気持ちが切れて体に疲労の感覚が表れたので、今は一つずつつくり直していく段階ですね。計画を意識し過ぎず、その時々の最善を尽くす。プランニングし過ぎないことが五輪へのプランです。あれをしなきゃと考え過ぎずに練習を重ねたいですね。

 私にとっての五輪は、夢を具現化する場所。小さい頃に初めて見た、一番大きくて光っている夢。それが五輪の金メダルでした。昨秋のドーハ世界陸上では金メダルを取りましたが、次の五輪で金メダルを取れた場合、同じ金メダルでも周囲の方が喜んでくださる大きさは、圧倒的に五輪の方が大きい。自分の夢を達成する喜びに加えて、他の方々の喜びの熱量が圧倒的。これが、五輪が特別だといわれる理由だと思っています。

 現在は新型コロナの影響で、試合で結果を出すという選手としての価値を示せないことに葛藤はあります。他競技も含め、観客を減らすなどの対策が半永久的に続いたらスポーツ自体どうなるのかという不安もあります。先行きは不透明で、大規模大会は開きづらい状況。ただ、徐々に競技会も再開されています。私も中学生から競技を続けていますが、大会ごとにいろいろな思いがあり、協力してくださる方がいる。どんなに小さな大会も、結果が良ければ喜んでくださる方がいる。そういうことがスポーツの本当の価値なのかなと思います。

 スポーツ選手としては、人間らしさを出すというのも大切だと考えています。あまりストイックだと思われたくない。私も、もちろんどんな時も競歩のことは頭の片隅にはありますけど、遊びで息抜きもします。五輪に出たり、世界大会でメダルを取ったりする選手は本当にひと握りだけど、“普通の人”なんだよ、というのを見てほしい。誰でも目指していいよ、というのを示したいのです。夢をかなえるのは素晴らしいけど、夢をかなえることだけが大事なのではない。努力の過程で向上し、達成感を得ることが大切だと考えています。

 ◆鈴木 雄介(すずき・ゆうすけ)1988年1月2日、石川・能美市生まれ。32歳。辰口中1年で競歩を始め、小松高時代に全国高校総体制覇。順大を経て富士通入り。20キロは2011年大邱世陸8位入賞。15年3月の全日本能美大会でマークした1時間16分36秒は、現在男女通じて日本勢唯一の世界記録。50キロは19年秋のドーハ世陸で日本勢初となる金メダルを獲得し、東京五輪代表内定。171センチ、58キロ。

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