吉村洋文大阪府知事の発言でイソジン買い占め危機…コロナにはポビドンヨード含むうがい薬使用を呼び掛け

スポーツ報知
完売の案内が貼り出されたドラッグストアのうがい薬コーナー

 大阪府の吉村洋文知事(45)は4日の会見で、新型コロナウイルスへの対策として「ポビドンヨード」という成分を含むうがい薬でのうがいを呼び掛けた。感染者を対象とした研究の結果、陽性になる確率が下がったことを明らかにした。感染者の唾液のウイルスが減る可能性があるという。会見を受け、ドラッグストアでポビドンヨードを含むうがい薬「イソジン」などを求めて客が殺到し、売り切れが相次いだ。

 吉村知事は会見で「ウソみたいな本当の話」と切り出した。「皆さんもよく知っているうがい薬を使ってうがいをすることによって、コロナの陽性者が減っていく。薬事法上、効能を言うわけにいかないが、コロナに効くのではないかという研究が出た」と報告した。

 発表によると大阪府、大阪市、大阪はびきの医療センターは、府の新型コロナの宿泊療養施設で軽症患者41人に対して一日4回、ポビドンヨードを含んだうがいを実施。毎日唾液を採取しPCR検査をしたところ、ポビドンヨードを含まないうがいをした人は6割弱の陽性が出たのに対し、含んだうがいをした人は陽性が2割程度まで減ったという。

 大阪府は4日、193人が新型コロナウイルスに感染したと発表。80代の男性が死亡したことも明らかにした。7月29日以降、検査数が少なかった3日を除き、連日200人前後の感染確認が続いている。吉村知事は、特に「発熱など風邪に似た症状のある人とその同居家族」「接待を伴う飲食店の従業員」「医療従事者や介護従事者」にポビドンヨードによるうがいの励行を呼び掛けた。20日までを強化期間として取り組む。

 ただ、研究は感染者の唾液のウイルスが減ることを示唆するもので、感染拡大を防ぐ効果を直接示しているわけではない。大阪はびきの医療センターの松山晃文次世代創薬創生センター長は、重症化や他人にうつすのを防ぐ効果は実証しておらず、既に体内に入ったウイルスにも効果は及ばないと説明。「さらに研究が必要だ」とした。

 吉村知事は、会見で記者から「前のめりでは」と問われると、「研究を踏まえて府民に情報を提供する。成果はやってみないと分からない」と強調。同席した松井一郎大阪市長は「結果が出たのに黙っていろと言うのか」と気色ばんだ。

 会見後、府の担当者は「エビデンス(根拠)はない」と明言。松山氏も取材に「呼び掛けは政治の判断」とした。NPO法人臨床研究適正評価教育機構の桑島巌理事長は「科学的とは言い難い。始めてしまった呼び掛けを止めろとは言わないが、きちんとエビデンスを集めるための研究も進めるべきだ」と話している。

 ◆ポビドンヨード ヨウ素が酸化する作用を利用した抗微生物成分。高い殺菌力をもちながら人体にやさしく、また即効性がある。医療現場での手術の際の傷口の消毒や、医師の手の消毒にも使用されている。1969年にアポロ11号が人類で初めて月面着陸をし、地球に帰還した際、地球外のまだ知られていない細菌の消毒にも有効であると米宇宙航空局(NASA)が判断し、船体にポビドンヨードを含む消毒剤をかけて殺菌を試みた。

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