◆パ・リーグ ソフトバンク4―0西武(1日・福岡ペイペイドーム)
最後は代名詞のパワーカーブで決めた。9回2死。カウント2―2から石川が投じた124キロで、森に反応を許さなかった。“モノノフ右腕”の自身初完投は1安打完封。2者連続三振で締めくくり、自己最多の13三振を奪う快投。「ちょっと達成感が違う」。都立高(総合工科)出身としては1976年の渡辺孝博(ヤクルト)以来44年ぶり、ドラフト制以降2人目の完封となり、通算25勝も右サイドスローだった渡辺を抜いて単独トップに浮上した。
西武打線に的を絞らせず、手玉に取った。「全体的に良かった」。2回中村からの3者連続三振の決め球は直球、カーブ、フォーク。7回にも山川、外崎をフォークでバットに空を切らせ、最後の中村は146キロ直球で仕留めた。140キロ台後半の力強い直球に得意のパワーカーブを含む変化球の切れ味も鋭かった。テンポの速い投球で、6回1死までノーヒット投球。「悪いところがひとつもなかった。100点だと思います」と、プロ通算224勝の工藤監督をも脱帽させた。
おうち時間を有効活用した。開幕が延期され、自宅で過ごす時間が増えたが、もともとが“オタク気質”。大ファンの「ももいろクローバーZ」のDVDや、人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」でリフレッシュする一方、自身のフォームも見つめ直した。米大リーグで3度のサイ・ヤング賞を獲得しているナショナルズ・シャーザーらの動画を繰り返しチェック。スリークオーター気味の右腕の位置が、昨年より低くなった。「肘が『下がっている』んじゃなくて『下げている』のが本来の自分のバランスに近い」と理想のフォームに近づきつつある。
8回を終えて109球。工藤監督から「どうする?」と問われ「(9回も)投げてみたい」と即答。「やれる時にやっておきたかった」と中継ぎ陣にも休養を与えた。2カードぶりの勝ち越しで、貯金も今季最多の7。タカが着々と首位固めに入った。(戸田 和彦)
◆石川柊太(いしかわ・しゅうた)
▽生まれとサイズ 1991年12月27日、東京都。28歳。185センチ、86キロ。右投右打。推定年俸4800万円。
▽球歴 都立の総合工科高から創価大を経て、13年育成ドラフト1位でソフトバンク入団。16年7月1日に支配下登録され、17年4月4日の楽天戦でプロ初登板。同年5月31日の中日戦でプロ初先発初勝利。
▽都立の星 入団時は大学の先輩のヤクルト・小川に憧れトルネード投法だったが、故障もありフォーム改造。「都立(出身)でもやれる。野球エリートに絶対負けるもんか」とプライドをにじませる。
▽ご褒美は「ももクロ」 「ももいろクローバーZ」の熱烈なファンで、2日にネット配信されるライブ前日に好投。「気持ち良く見られる」と笑顔。