早稲田の銭湯「松の湯」70年の歴史に幕

「松の湯」店主の山崎康五郎さん
「松の湯」店主の山崎康五郎さん

 東京・新宿区西早稲田の早大西門近くで1950年に創業し、早大生や近隣住民に愛された銭湯「松の湯」が、7月31日をもって70年の歴史に幕を下ろした。

 最終日、夜が更けても客が絶えなかった。ピークは20時からの2時間。東京都の1日1浴場当たりの平均入浴人数である138人(2018年)に匹敵する137人が訪れ、混雑時には、80個あるげた箱は78個が埋まった。この日は300人以上が風呂に入り、別れを惜しんだ。

 店主の山崎康五郎さん(70)は、昨年10月に廃業を決めていた。2人の息子に後を継がないという意思を確認してのことだった。「(そのままの状態で息子が土地を)相続するとなると、結局手放さなければならない。それは自分としても嫌だった」。コロナ禍で、早大の授業はオンラインに。売り上げも2割落ちた。山崎さんは「体力も落ちたなと感じるし、(緊急事態宣言が)ちょうどいい引き際になったかな」と話した。

 閉店時間の24時ごろには、山崎さんと記念撮影をしたり、最後のあいさつをしようと脱衣所で待機する若者もいた。早大OBの山田隆太さん(26)は「なごりは尽きない。友達と来たり、1人で考え事をしながらだらだらした空間。なくなるとさみしい」と惜しんだ。山崎さんは「本当は静かに終わりたかった。学生さんのノリにどうしようかと思った」と照れ笑いし、喜んでいる様子だった。

 廃業後は、土地を売却した上で一部を買い戻し、自宅として住む予定だという。(北川 龍世)

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