照ノ富士、V王手 序二段から史上最大復活劇へ「一生懸命やって終わらせたい」

照ノ富士(右)が寄り切りで朝乃山を破り1敗を守った(カメラ・佐々木 清勝)
照ノ富士(右)が寄り切りで朝乃山を破り1敗を守った(カメラ・佐々木 清勝)
優勝争い残り2日の対戦予想
優勝争い残り2日の対戦予想
照ノ富士の超V字回復の道のり折れ線グラフ
照ノ富士の超V字回復の道のり折れ線グラフ

◆大相撲七月場所13日目 〇照ノ富士(寄り切り)朝乃山●(31日・両国国技館)

 1敗で並ぶ結びの新旧大関対決は、序二段からはい上がってきた幕尻の照ノ富士(28)=伊勢ケ浜=が、新大関・朝乃山(26)=高砂=を寄り切って単独トップに立った。両膝負傷や内臓疾患などで関取の座すら失った元大関は、一時は引退も考えたが、師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の説得で思い直して再出発。不屈の魂で幕内土俵に戻ってきた。14日目に照ノ富士が勝ち、朝乃山が敗れると、2015年夏場所以来、自身5年ぶり2度目となる史上最大のカムバックVが決まる。

 誰も描いたことのない復活劇を、照ノ富士が完結させようとしている。新大関・朝乃山を元大関が寄り切った瞬間、国技館のファンは声援自粛のルールを忘れた。新旧大関による1敗同士の対決を制して単独トップ。「変わることなく、やれることは全部やりたいと思ってやった」。自身2度目の優勝に王手をかけた。

 立ち合いからお互い得意の右四つ。投げをこらえて上手を切ると、再びの投げも耐えて前に出た。万全の寄り。「相手も大関。(まわしを)取っていい相撲を見せている。自分の形に持っていこうと思っていた」と、真っ向勝負で勝った。八角理事長(元横綱・北勝海)は、「(照ノ富士は)俺が大関という感じ」。土俵下で見守った師匠・伊勢ケ浜審判長(元横綱・旭富士)も、「自分の相撲が取れている」と、うなずいた。

 15年夏場所、平成生まれでは初めて優勝し、大関に昇進した。だが、その後は両膝のけがや、糖尿病など内臓疾患の影響で力が出せず。4場所連続全休などを経て、序二段まで落ちた。大関経験者のプライドから5度、師匠に「辞めさせてください」と、引退も直訴した。伊勢ケ浜親方の説得で、本場所の土俵に戻ってきたのは昨年春場所。若い衆と同じ黒まわし姿で出直した。以降は全て勝ち越し、元大関として史上初めて序二段からの再入幕を果たした。

 朝乃山とは初顔だったが、今年春場所前の時津風部屋への出稽古で肌を合わせていた。稽古場では、同じ右四つの若手代表格を何度も指名。「右四つに組んで力を出してくれる人はあまりいない。いい稽古相手になると思った」と明かす経験を、この日に生かした。「暴れたい」と意気込んでいた再入幕場所。昭和以降、1976年秋場所の魁傑しか成し遂げていない大関陥落後の関脇以下の優勝は、もう目の前まで迫ってきた。

 14日目の正代戦に勝ち、結びで朝乃山が敗れれば、5年ぶり2度目の優勝が決まる。朝乃山の相手、兄弟子の幕内・照強も、「しっかり自分の力を出して相撲を取る」と、“援護射撃”を誓った。序二段から復帰以降、幕下と十両の優勝を経てここまで戻ってきた。「多少(疲れは)きてるけどあと2日だけ。一生懸命やって終わらせたい」。地獄を味わった照ノ富士に失う物は何もない。(大谷 翔太)

取組結果
照ノ富士(右)が寄り切りで朝乃山を破り1敗を守った(カメラ・佐々木 清勝)
優勝争い残り2日の対戦予想
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