【森永卓郎の本音】100年前に似ている

森永卓郎氏
森永卓郎氏

 今の日本は100年前に似ていると言われる。100年前の1920年は大正9年だが、日本経済は厳しい不況の中にあった。大正7年に第1次世界大戦が終結し、それまで日本経済をけん引してきた戦争特需が消失したのが大きな原因だった。また、大正7年にパンデミックとなったスペイン風邪の流行が続いていたということも現代と共通している。世界と比べて、日本の致死率が低かったというのも不思議な一致だ。

 日本の不況は、銀行への取り付け騒ぎが起きるほど深刻だったが、その中で2つの変化が経済に起きた。1つは、財閥系を中心に体力のある企業が、どんどん太っていったということだ。資金力の劣る中小企業が行き詰まる中で、体力のある大企業が市場をのみ込んでいったのだ。

 もう1つの変化は、ライフスタイルの変化に対応した新しい企業が次々に創業したことだ。その中には、現代でも輝き続けている企業も多い。例えば、クリーニングの白洋舍、スケッチブックのマルマン、パイロット万年筆やトンボ鉛筆も、この時代の創業だ。それまでの庶民は、着物を着て、筆で文字を書いていた。それが洋服を着て、鉛筆や万年筆を使うように変わっていったのだ。

 ただ、注意しておかなければならないのは、西洋にかぶれていたのは文明開化の明治時代だった。経済の仕組みも、明治時代は弱肉強食の資本主義だった。

 ところが、大正時代のトレンドは和洋折衷に変わる。庶民は西洋人になれない。和洋折衷になって、初めて庶民のライフスタイルが変わったのだ。

 いまアフターコロナのビジネスが模索されているが、これからの成長企業は、グローバルビジネスではなく、和洋折衷の中から生まれるのかもしれない。(経済アナリスト)

社会

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