◆高校野球 岐阜代替大会 ▽2回戦 帝京大可児12―0武義=5回コールド=(24日・KYBスタジアム)
岐阜では、帝京大可児の最速153キロ右腕・加藤翼投手(3年)が2回戦で先発し、3回で8奪三振。視察に訪れたプロ6球団のスカウトは、将来性に太鼓判を押した。
岐阜の剛腕がベールを脱いだ。帝京大可児の加藤が3回1安打8奪三振。堂々の投球内容も「(出来は)40点ぐらい」と、浮き球の多さを反省した。
この日は先の戦いを見据え、スライダー、カットボール、チェンジアップを封印。直球と大きく縦に割れるカーブのみで挑み「三振は意識していなかった」としながらも、初回にこの日最速の149キロ直球で三振を奪うなど、1回戦をコールド勝ちした武義打線から三振の山を築いた。
中学時代の最速は120キロ台。「なかなか勝てず、野球を楽しいと思えていなかった」。加藤の転機は田中祐貴コーチ(41)との出会いだった。「ユウキ」の登録名で通算28勝を挙げた元ヤクルトの投手で、けがに苦しんだ自身の経験も踏まえ、同校では徹底した体作りを重視。栄養管理とトレーニング方法を選手に指導している。その裏には「どんな舞台であれ、次のステップでけがせずにプレーできるように」との思いがある。
「ユウキさんの考え方に触れて、野球に興味が持てるようになった」。加藤は高校入学後に急成長。58キロだった体重は75キロになり、最速は153キロに。これは19日の大垣日大(岐阜)との練習試合でマークしたもので、まだまだ発展途上にある。
この日は6球団が視察に訪れ、DeNAの進藤編成部長は「粗削りな部分はあるが、魅力のある直球がある」、オリックスの谷口スカウトも「直球の質はいい。うちの本田(仁海)に似た伸びしろを感じる」と直球を評価した。進路について「プロ一本で。アピールしなければ、という思いもある」と言い切った17歳。2年半の集大成を見せた先に、次のステップが見えてくる。(内田 拓希)
◆加藤 翼(かとう・つばさ)2002年12月14日、岐阜県下呂市生まれ。17歳。東第一小2年時に「金山クラブ」で野球を始め、金山中では「岐阜可茂ボーイズ」でエース。遠投125メートル、50メートル走6秒1。憧れの選手は山本由伸(オリックス)。178センチ、75キロ。右投右打。
◆ユウキ 近鉄、オリックス、ヤクルトで通算119試合に登板して28勝22敗1セーブ、防御率3・72だった。オリックス時代の02年には8月以降に土曜を中心に7連勝し「サタデーユウキ」と呼ばれた。