配信落語で判明した権太楼、菊之丞の驚くべき再現力 AIをだました芸!?

古今亭菊之丞
古今亭菊之丞

 新型コロナウイルス感染拡大で、リモートワークの導入など従来の生活様式が様変わりした。

 演芸の世界でも、戦時中でも休まなかったと言われる寄席が休席となり、1857年創業の老舗、上野・鈴本演芸場が公式YouTubeチャンネル「鈴本演芸場チャンネル」で無観客生配信を行った。4月以降、6月末まで休席となり公演が行えなかった15公演を配信したもので、物理的に寄席に運べない地方や海外から視聴があるなど画期的な出来事となった。

 鈴本演芸場の“若旦那”こと鈴木敦さんの発案で実現したが、伝統芸能と最新技術の“融合”は時に思いもしない事実を突きつけた。ライブ配信を行い、アーカイブとして残そうとしたところ、ある演目が、著作権侵害を審査するYouTubeのAI(人工知能)に引っかかり、配信が出来ない事象が起こった。

 6月7日の配信で、古今亭菊之丞(47)が演じた「短命」がCDの音源だとAIに“認識”されたのだ。もちろん鈴本で菊之丞が実際演じたもので、CDではないという申し立ては認められ、アーカイブ配信は可能となったが、菊之丞の“再現力”の高さに注目が集まった。菊之丞は「(短命の)CDは2年前に出しました。それから成長していないってことですかね。これからは、もっとヘタに分かりやすくやらないといけないですね」と落語家らしく笑いにしていたが、13日の配信でも柳家権太楼(73)の「佃祭」がAIからCD音源ではないかとの指摘を受けて、同様の手続きを余儀なくされた。

 1公演で多くの演者が入れ替わり出演する寄席形式の15公演で起きた2件の“不具合”。精度が低ければもっと頻発しただろうし、一定の水準にあると判断することが出来る。

 最近、朝の情報番組で将来AIに変わる職業という特集をやっていた。寝起きで頭がボーッとした状態で見ていたので詳細は覚えていないが、弁護士は無理だが、落語家は可能だという説明を目にした。AIがやる落語なんて嫌だなあと思ったことは強烈に覚えている。

 今回の2人の芸は「AIが認めた再現力」という表現も出来るが、AIにCD音源であると誤認識させた技術は、「AIをだました芸」と言い換えることも可能だし、そう考えると痛快でもある。

 寄席も再開した。人数制限もあり、今までのようにはいかないが徐々に笑いが戻ってきた。ライブが一番であるのはもちろんだが、コロナで外出が不安な人は配信を楽しむのもいい。鈴本演芸場チャンネルのアーカイブ配信は7月末まで。笑いながら「AIをだました芸」を堪能して欲しい。(記者コラム・高柳 義人)

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