池江璃花子「希望の炎輝いて」五輪へ涙のメッセージ

東京五輪開幕まで1年となり、メインスタジアムの国立競技場で聖火が入ったランタンを掲げる競泳の池江璃花子(代表撮影)
東京五輪開幕まで1年となり、メインスタジアムの国立競技場で聖火が入ったランタンを掲げる競泳の池江璃花子(代表撮影)

 新型コロナウイルス感染拡大で史上初の延期となった東京五輪は23日、開幕まであと1年となった。白血病からの復帰を目指す競泳女子の池江璃花子(20)=ルネサンス=が、ちょうど1年後に五輪開会式が始まる午後8時から、舞台となる国立競技場で世界へとメッセージを発信した。聖火ランナーにもリストアップされている池江は、このイベントで一足先に聖火を手にし、コロナ禍に苦しむ世界に「希望の力が必要」と訴えかけた。

 池江が、雨の上がった無観客の国立競技場から、世界へと思いを届けた。純白の衣装をまとい、映画「東京オリンピック」の映像が流れる中でピッチに登場した。「1年後の今日、この場所で、希望の炎が、輝いていてほしい」。聖火のランタンを手に約4分間。「1年後へ、一歩進む」という意味を込め、スタッフとの話し合いで作り上げた「+1(プラスワン)メッセージ」を読み上げると、退場の際は感極まったのか涙も見せた。「私でいいのかなと思いました。不安もありましたが、こんな機会はもうないかもしれないと思った」とコメントした。

 制作担当のクリエイティブディレクター、佐々木宏氏は、白血病を克服する姿に感銘を受け起用を提案した。「発言、思いに強いものがある。全てのアスリートを代表して一言いただくにふさわしい」。今はパリ五輪を目指す池江は、聖火ランナー候補にも挙がっており、来年またこの国立に戻ってくる可能性もある。

 ◆池江璃花子メッセージ全文

 池江璃花子です。 

 今日は、一人のアスリートとして、そして一人の人間として少しお話させてください。

 本当なら、明日の今頃この国立競技場ではTOKYO2020の開会式が華やかに行われているはずでした。

 私も、この大会に出るのが夢でした。

 オリンピックやパラリンピックはアスリートにとって、特別なものです。

 その大きな目標が目の前から、突然消えてしまったことは、アスリート達にとって、言葉にできないほどの喪失感だったと思います。

 私も、白血病という大きな病気をしたから、よく分かります。

 思っていた未来が、一夜にして、別世界のように変わる。それは、とてもキツい経験でした。

 そんな中でも、救いになったのはお医者さん、看護師さんなど、たくさんの医療従事者の方に、支えていただいたことです。

 身近で見ていて、いかに大変なお仕事をされているのか、実感しました。

 しかも今は、コロナという新たな敵とも戦っている。

 本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

 2020年という、特別な年を経験したことでスポーツが、決してアスリートだけでできるものではない、ということを学びました。

 さまざまな人の支えの上に、スポーツは存在する。本当に、そう思います。

 今から、1年後。

 オリンピックやパラリンピックができる世界になっていたら、どんなに素敵だろうと思います。

 今は、一喜一憂することも多い毎日ですが一日でも早く、平和な日常が戻ってきて欲しいと、心から願っています。

 スポーツは、人に勇気や、絆をくれるものだと思います。

 私も闘病中、仲間のアスリートの頑張りにたくさんの力をもらいました。今だって、そうです。

 練習でみんなに追いつけない。悔しい。そういう思いも含めて、前に進む力になっています。

 TOKYO2020

 今日、ここから始まる1年を単なる1年の延期ではなく、「プラス1」と考える。

 それはとても、未来志向で前向きな考え方だと思いました。

 もちろん、世の中がこんな大変な時期に、スポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります。

 ただ、一方で思うのは、逆境から這い上がっていく時には、どうしても、希望の力が必要だということです。

 希望が、遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても、前を向いて頑張れる。

 私の場合、もう一度プールに戻りたい。その一心でつらい治療を乗り越えることができました。

 世界中のアスリートと、そのアスリートから勇気をもらっているすべての人のために。

 一年後の今日、この場所で希望の炎が、輝いていて欲しいと思います。

 競泳選手 池江璃花子

 本日はありがとうございました。

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