五輪聖火保管「機密事項」も…特製ランタン使用!?

40日間連続燃焼が可能という「ハリケーンランタンDIETZ90黒GT長時間」(江戸川屋ランプ提供)
40日間連続燃焼が可能という「ハリケーンランタンDIETZ90黒GT長時間」(江戸川屋ランプ提供)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前例のない延期となった東京五輪は、23日で開幕まで1年となる。聖火は3月にギリシャで採火式が行われ、日本に到着。しかし全国各地を回る聖火リレーも延期となり、その後は非公開で消えることなく灯(とも)され続けたという。21日に国立競技場の近隣施設に運び込まれるまでの約3か月半、聖火がどのように保管されていたのかに迫った。

 五輪のシンボルである聖火は、3月26日に福島・Jヴィレッジを出発予定だったリレーが延期となり、4月2日から同所で一般公開。しかし緊急事態宣言発令直後の同8日以降は、東京五輪組織委によって厳重に保管されている。

 組織委は聖火について、「都内で管理・保管をしていますが、安全管理上の観点から具体的な場所に関しては非公開」と回答。保管方法も「機密事項」として明かさなかった。国際オリンピック委員会(IOC)の指針で、大会閉幕まで燃え続けなければならないと定められており、管理体制は万全とみられる。

 福島での展示では高さ約30センチ、重さ約1・8キロの特製ランタンが使用された。同様のランタンを用いて保管している可能性はある。

 ランタンも取り扱っている灯油ランプの専門店「江戸川屋ランプ」(愛知県春日井市)は、国体で五輪の聖火にあたる炬火(きょか)リレーのほか、今年の東京五輪聖火リレーでも、火の保管用に同店のランタンが選ばれた老舗。ランタンは通常、一度の燃料補給で20時間ほど持つが、同店の改造ランプには40日も長持ちする「ハリケーンランタンDIETZ90黒GT長時間」(7480円)がある。

 石田浩一店長は、芯を工夫した同タイプの“長時間ランタン”で聖火を保管すると仮定した場合「燃料の基本は灯油で、だいたい500ミリリットル。1リットル100円として50円くらい。40日持つので、1年としても、かける12(か月)で600円とか、1000円あれば収まるのでは」と予想。ポイントは「給油でしょうね。1台だと万が一(消えてしまうこと)がある。2~3台つけておき、順番にやっていくと思う。40日持つなら30日スパンとか、早めにした方がいい」と指摘した。火が消えないように24時間対応できる監視態勢も必要となる。

 約3か月半、秘密裏に保管され、今後は五輪博物館「日本オリンピックミュージアム」(東京都新宿区)で展示する計画がある。関係者の尽力で、非公開から「火」公開になる日は近い。(竹内 竜也)

 ◆風習で300年以上燃え続けている火も

 五輪の聖火は3か月半だが、日本には300年以上燃え続けている火もある。石川県中島町河内の集落にある囲炉裏火には、もし火が消えてしまった場合でもマッチなどで付けることはせず、隣の家の囲炉裏から火をもらってくるという決まりで火を絶やさない「火様(ひさま)」という風習があった。

 時代の流れとともに囲炉裏が閉じられていく中、最後の火を「大切なものだから守った方がいい」と申し出たのが森田孝夫さん(70)だ。かつては囲炉裏で燃やしていた火を「どうしたら安全にともし続けられるか」と悩んだ末、森田さんは火様のための容器として高温に耐えられるスウェーデン製のまきストーブを用意。その中に100度近くにならないと火がつかないパラフィンオイルを使用した2週間燃え続けるランプを入れた。オイルランプ販売店の研究部に頼み込み、5か月かかって作った特注品だ。加えて、監視カメラで24時間録画を続けている。

 「生活の火だった火様が文化の火になってしまった。大変ですよ」と笑いながらも素直な気持ちを吐露した森田さん。消してはならぬ火を燃やし続ける苦労と誇りが垣間見えた。

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