五輪追加費用も「東京問題」と言われる日は近い?…政府と小池知事の溝深まる

小池百合子都知事
小池百合子都知事

 消灯した都庁エントランスにハイヒールの音が鳴り響く。7月16日午後7時50分ごろ、公務を終えた小池百合子知事が報道陣の前に姿を現した。

 「国がよーくお考えになったことだろう」―。囲み取材の数時間前、政府の観光支援事業「Go Toトラベル」キャンペーンで、東京都内の新型コロナウイルス感染者増加から、東京発着の旅行などの除外が決定した。

 急転直下の「東京外し」に、報道陣から制度変更は「妥当だったのか?」などと数回問いかけられた小池氏は、「国としてよーくご判断されたことだろう」と繰り返した。政府側から「ご説明はございません」と淡々とした口調で明かし、“合意なき決定”であったのか、真相は定かではないが、釈然としない様子がありありと伝わってきた。

 16日、都内では新規感染者が過去最多の286人に上り、不要不急の都外への旅行に「Go」サインを出せる状況にはないのも事実だ。だが、どこか釈然としない感が漂うのは、政府による「東京外し」=「小池外し」の構図が見て取れるからだろう。

 発端は11日の菅義偉官房長官による「東京問題発言」だ。北海道千歳市での講演内で、国内の感染状況悪化などについて菅氏は「この問題は、圧倒的に東京問題と言っても過言ではない」と発言し、都の対応を暗に批判した。

 名指しで口撃された「東京」の長も黙ってはいなかった。小池氏は13日、感染者が増加する中で政府が強行に進める「Go Toトラベル」について、「整合性を国としてどう取っていくのか、冷房と暖房と両方かけることにどう対応していけばいいのか」と苦言を呈し、「無症状の方がいる中で、どのように仕切りをつけていくのか、むしろ国の問題だ」と逆ねじを食わせた。

 小池氏と政府側の連日の舌戦の末、「東京」が除外されることとなったのは、感染拡大防止の観点から言えば「妥当」だったかもしれない。だが、小池氏が東京都知事選で5日に再選を果たし、2期目を迎えてから2週間も経たないうちに、政府側と小池氏側の溝は決定的に深まった。

 新型コロナ対応に並び、小池都政2期目の最大の課題である東京五輪・パラリンピック延期に伴う3000億円規模と言われる追加費用負担を巡っては、IOC(国際オリンピック委員会)や政府ともハードな交渉が予想される。

 都知事選期間中の取材では、一部都議などから「コロナによる経済停滞で日本全体がダメージを受けるのだから五輪追加費用は、政府にも同等レベルの負担を求めるべき」と小池氏の調整力を期待する声が聞かれた。ただ、このまま両者の足並みの乱れが長引けば、政府側から五輪の追加費用負担は、「圧倒的に東京問題」と開催都市に押しつけられてしまう日も遠くないかもしれない。(記者コラム・奥津友希乃)

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