師匠の杉本昌隆八段、藤井新棋聖を祝福「指導はクリームソーダの飲み方ぐらい」特別メッセージ寄せる

師匠の杉本昌隆八段(左)から花束を受け取り、満面の笑みを見せた藤井聡太新棋聖
師匠の杉本昌隆八段(左)から花束を受け取り、満面の笑みを見せた藤井聡太新棋聖

 聡太君、藤井七段、新棋聖おめでとう―。藤井聡太新棋聖(17)の史上最年少タイトル獲得を受け、師匠の杉本昌隆八段(51)がスポーツ報知に特別メッセージを寄せた。小学1年時に出会い、小4からは師匠として天才の成長を見守り、支えてきた。クリームソーダの思い出、師弟戦での感情、将来への期待まで思いを語った。

  • 小2の時の藤井新棋聖
  • 小2の時の藤井新棋聖

 出会った日のことは今もよく覚えています。藤井新棋聖はまだ1年生で、4枚落ち(上位者が飛車角香なしで戦うハンデ戦)で指しました。でも、駒に躍動感があって派手な大技を狙ってくる。必ず一局に一手は私も気がつかない手を指す子でした。幼稚園時代の(同じ愛知県出身の)豊島(将之)さん(現竜王・名人)を見た時と似ていた。とにかく正確に指す豊島さんとタイプは違いますけど、衝撃は似ていました。

 4年生の夏、奨励会を受験する前、お母さんと彼に呼ばれて「コメダ珈琲」に行ったんです。お母さんは藤井に「ホラ、自分で直接言いなさい」と…。何を頼まれるかは分かっていましたけど、藤井は「奨励会試験を受けたいので…弟子にしてください」と言ってくれました。緊張した様子で目も合わせられずに。

 師匠になることが決まって、私とお母さんが頼んだアイスコーヒーと藤井のクリームソーダが運ばれてきた。すると、藤井はいきなりアイスをブクブク沈めようとするんです。お母さんが注意しようとしたので、私は「お母さん、もう私が師匠ですので」と制し「いいか藤井、いきなりアイスを沈めるとあふれちゃうだろう。アイスを食べるか、ソーダを飲むかしないとダメだ」と指導しました。思えば、私が彼に教えられた数少ないことのひとつです。

  • 将棋のこども大会で藤井少年に表彰状を贈る杉本氏
  • 将棋のこども大会で藤井少年に表彰状を贈る杉本氏

 師匠になることは、出会った時からずっと意識していました。あまりに大きく、自分には理解のできない才能ですから、育て上げられるのかという心の葛藤はありました。藤井が憧れている谷川浩司九段にお願いしようかとも考えましたし、まだ10代の豊島さんにも冗談半分で「すごい子がいるんだけど、師匠に興味ない?」とも言いました。「いや、杉本先生が師匠になられるのがいいと思います」と言ってくれましたけど。

 過去に2度、師弟戦に臨みました。2018年の最初の時は追憶の時間でした。一緒に東京まで武者修行に向かったこと、一緒にラーメンを食べに行ったこと…。

 先月の2度目は竜王戦3組決勝という大舞台だったので、完全にライバルとして戦いました。でも途中、彼が広げた扇子に私の揮毫(きごう)「不撓(ふとう)不屈」の文字が見えた時、師匠としての感情が生まれました。彼は何も考えていなかっただけかもしれないですけど…。

 藤井新棋聖がどんな棋士になっていくか。少なくとも複数タイトルを数十年にわたって保持する存在にはなると思います。

 出会ってからの10年で全て変わったように、10年後には藤井も結婚していたりするかもしれないけど、今のマイペースなところは変わらないと思います。

 羽生(善治)さんは第一人者になってから他業界の方々と対談したり、チェスなどいろんな文化に興味を持って、棋士の存在を世間に広めてくださいました。藤井は同じようなタイプ…にはならないと思います。今のまま、将棋一筋に生きていく姿を思い描いています。(将棋棋士八段)

師匠の杉本昌隆八段(左)から花束を受け取り、満面の笑みを見せた藤井聡太新棋聖
小2の時の藤井新棋聖
将棋のこども大会で藤井少年に表彰状を贈る杉本氏
すべての写真を見る 3枚

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS ショップ報知 マガジン報知 バックナンバー申し込み 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真販売 法人向け紙面・写真使用申請