「一手の緩みも許さない展開に追い込んだ技術」…広瀬章人八段、藤井七段の強さを解説

感想戦で対局を振り返る藤井聡太七段(右)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)
感想戦で対局を振り返る藤井聡太七段(右)と木村一基王位(日本将棋連盟提供)

 札幌市出身の広瀬章人八段(33)が札幌市を舞台にした熱戦を中継で見守った。昨期王将戦で藤井の初タイトル挑戦を阻み、今期は非公式戦で天才少年に連勝した元王位は「派手な一手を指すわけでもないのに、重圧を掛けていく技術は羽生さん(善治九段)と似ています」と表現する。

 AIの評価値を見ながら観戦していた方は「勝勢だった木村王位が逆転負けした」と思っているかもしれませんが、棋士の視点としては少し違います。差はそんなには付いていません。あの持ち時間、あの展開で正確に指し続けて逃げ切れる棋士がどのくらいいるのかと言えば…逆転される棋士は多いと思います。一手の緩みも許さない展開に追い込んだ藤井七段の技術が光ったと思います。

 終局の約2時間半前に指された66手目△3三銀が「逆転を目指す初手」でした。あれは普通は浮かびません。「攻め切って勝ちますか? 安全勝ちを目指しますか?」と相手に問う一手なんです。木村王位はリードをキープして「さすがだな」と思いましたけど、藤井七段はバランスを保ち、プレッシャーを掛け続けていました。78手目△1五金も印象に残ります。「局面における最善手」ではなく「ひとつミスをした時に逆転するための最善の手段」を指す。単純に「終盤の強い人」の指し方でした。

 木村王位の将棋は、若手にもソフトにもない特徴があります。いつも、いつの間にかリードする藤井七段がいつの間にかリードされていた。藤井七段の将棋としてはちょっと記憶にない展開だったので、普段あまりクローズアップされない特長が表れたんです。ものすごく派手な一手を指すわけでもないのに、重圧を掛けていく技術は羽生さんと似ている気がします。(談)

 ◆広瀬 章人(ひろせ・あきひと)1987年1月18日、札幌市出身。33歳。2005年、四段(棋士)昇段。早大在学時の10年、王位を獲得して史上初の現役大学生タイトルホルダーに。18年、羽生善治から竜王を奪取。19年、王将戦で藤井聡太の初タイトル挑戦を阻止。順位戦A級。

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