マイアミの奇跡、ゴール守った20歳の川口能活…カメラマンがファインダー越しに見た96年アトランタ五輪

グループリーグD組、日本-ブラジル戦、後半終了間際にハイボールを競り合いキャッチするGK川口能活
グループリーグD組、日本-ブラジル戦、後半終了間際にハイボールを競り合いキャッチするGK川口能活

 スポーツ報知のカメラマンが、五輪の現場で撮影した瞬間を振り返る企画の第2回は1996年アトランタ大会。サッカー男子で、日本がブラジルから大金星を挙げる「マイアミの奇跡」に日本中が沸いた。

 真夏の米フロリダ州オレンジ・ボウル。ビールをたらふく腹に仕込んだ大男たちが、ブラジル代表のゴールショーを期待し、大騒ぎしていた。シュートが外れる度に大きなため息がスタジアムを覆う。後半になってもゴールは決まらない。サポーターは立ち上がってブーイングを飛ばし、足を踏み鳴らし始めた。

 スタンドの座席に爪先立ちになって構えた望遠レンズの先には、ゴール前に立ちはだかる、当時20歳のGK川口能活がいた。カナリア色に染まった完全アウェーのスタジアムで、とんでもないことが起こる予感がした。緊張でかいた手汗でカメラのグリップが滑った。

 日本サッカー史上の伝説として語り継がれる「マイアミの奇跡」。その中心にいたのが川口だった。この試合で浴びたシュートは28本。ゴールポストを味方につけ、DF陣と体を張ったセービングショー。日本は後半27分に相手DFとGKの連係ミスから幸運な形で奪った伊東輝悦のゴールを守りきり、大金星を挙げた。

 その後、川口はW杯4大会で代表に選出された。代表キャップは116を数え、18年に43歳で現役引退。会見では忘れられないシーンとして、「(アトランタ五輪の)ブラジル戦でロベルトカルロスのシュートをキャッチしたこと」と振り返った。

 あれから25年、川口は18年に現役引退後、日本サッカー協会のナショナルトレセンコーチとして育成年代の指導に携わっている。数々の修羅場を経験した男は、指導者としてどんな奇跡を起こしてくれるのだろう。(写真部・今西 淳)

 ◆オールアマで銀の野球、豪華メンバーの空中戦

  • 予選リーグの韓国戦、コールド勝ちを決める適時打を放った井口忠仁
  • 予選リーグの韓国戦、コールド勝ちを決める適時打を放った井口忠仁

 甲高い金属音と共に放たれた打球は、外野に上がれば即フェンスオーバー。本塁打の飛び交う空中戦ばかりだった記憶がある。

 五輪ではオールアマチュアで臨んだ最後の大会で、野球日本代表は銀メダルを獲得した。苦しみながらも予選リーグ(L)を通過。準決勝では予選Lで敗れた米国を撃破したが、決勝ではリナレス、キンデラン、パチェコらを擁したアマ最強のキューバに9―13で打ち負けた。

 当時はもちろん“侍ジャパン”などの呼称もなかったが、メンバーは松中信彦(新日鉄君津)、福留孝介(日本生命)、谷佳知(三菱自動車岡崎)、井口忠仁(現資仁、青学大)、今岡誠(東洋大)ら、その後プロ野球などで活躍した、記録にも記憶にも残る強打者ぞろいのタレント軍団だった。

 福留は現在、NPB現役最年長選手として阪神に在籍。当時二遊間を組んだ井口と今岡はロッテで1軍と2軍の監督を務めるなど、絆は今も残っている。

グループリーグD組、日本-ブラジル戦、後半終了間際にハイボールを競り合いキャッチするGK川口能活
予選リーグの韓国戦、コールド勝ちを決める適時打を放った井口忠仁
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