阿部一二三、代表選考12月「ちょうどいい」…リレーコラム

スポーツ報知
阿部一二三

 今回は(母校)日体大の山本洋祐先生についてお話ししたいと思います。出会いは進路に悩んでいた高校2年生の時。「一緒に五輪へ行こう」と声をかけていただきました。先生の熱い気持ちをすごく感じて、この人のもとだったら強くなれると思い、日体大に進むことを決めました。

 練習の時もすごく見てくれていて、的確なアドバイスをくれます。今日は足技が出てないなとか、調子が良くないなとか、ちょっとした変化にも気づいてくれるので、そこは自分にとってすごく大きい。試合の時の力強い応援の声は特に印象に残っているし、負けた時や苦しい時も、何も言わずに自然と前を向かせてくれて、いつも背中を押してもらっていました。

 先生からは常に「柔道だけ強くてもダメだ。人としても周りから認めてもらえるようにならないといけない」と言われてきました。自分自身、意識の持ち方が変わったし、4月からは社会人にもなり、今まで以上に自覚を持たなければいけないと考えています。

 今はなかなか柔道の練習ができない状況ですが、体の状態は悪くないです。柔道の感覚に関しては分からない部分もありますが、トレーニングはしっかりできています。練習ができない分、ダッシュを中心に走る量を増やしているので、体力面はむしろ上がっているんじゃないかと思います。また、いろいろなスポーツ選手の本を読んで、メンタル面など違った考え方に触れることもできました。

 五輪まで残り1年になりました。この4年間が正直すごく早かったので、次の1年もあっという間だろうなと感じます。4月から延期になっていた代表選考会も、12月のグランドスラム東京大会で行われる方向だという情報が出ています。正式に決まったわけではありませんが、少しずつ次の試合が見えてきたことは良かったです。3~4か月あればしっかり体もつくれるので、12月というのはちょうどいい時期だと思います。今はまだ立ち技などの練習はできていませんが、前向きに今できることをしっかりやっていきたいです。

 ◆阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日、神戸市生まれ。22歳。6歳で柔道を始め、神港学園高時代の2014年に、66キロ級で男子史上最年少17歳2か月で講道館杯制覇。世界選手権は17年の初出場から2連覇し、19年は銅メダル。日体大を経て、今年4月からパーク24所属。得意技は背負い投げ。妹・詩(19)=日体大=も女子52キロ級で世界選手権2連覇。168センチ。

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