ゴールデンタイム生プロレス中継で思い出した昭和の恍惚と不安…金曜8時のプロレスコラム

オカダ・カズチカ(左)が高橋ヒロムを変形コブラクラッチで仕留めてフィニッシュ(新日本プロレス提供)
オカダ・カズチカ(左)が高橋ヒロムを変形コブラクラッチで仕留めてフィニッシュ(新日本プロレス提供)

 新日本プロレスの最強トーナメント「NEW JAPAN CUP(NJC)2020」(32選手参加)の準決勝(無観客・会場非公表)が3日放送のBS朝日「ワールドプロレスリング・リターンズ」(毎週金曜午後8時)で生中継された。地上波のテレビ朝日系「ワールドプロレスリング」が1986年9月19日に「金曜夜8時」枠で生中継されて以来、34年ぶりのプロレスファン待望の1時間となった。

 新旧の番組テーマ曲が短時間ながら流れる憎い演出に心が躍った。対戦カードは準々決勝を勝ち残った4強による準決勝。オカダ・カズチカ(32)対IWGPジュニアヘビー級王者・高橋ヒロム(30)、SANADA(32)対EVIL(33)の2試合。見事にアンダー34で、金曜8時のプロレスを知らない世代がそろった。

 先週に紹介した通り、34年前の放送カードは、福岡スポーツセンターでの「アントニオ猪木VSハクソー・ジム・ドゥガン」「藤波辰巳(現辰爾)VSブルーザー・ブロディ」、「IWGPジュニアヘビー級選手権、王者・高田伸彦(現延彦)VS越中詩郎」の3試合だった。昭和の金曜夜8時は3試合が基本だった。初代タイガーマスクの入場がオープニングで、藤波辰巳VS長州力の名勝負数え唄、そして大トリのメインイベントはアントニオ猪木が務めた。

 だが、平成を飛び越えて令和のプロレスでは、試合時間は20分超が当たり前。1時間枠(実質50分)では2試合が限度だろう。タイムキーパーなら、1試合目は試合途中からでないと落ち着けないはず。だが、今回の生放送が開始された時、まだ静かなリングが映し出され、対戦カード紹介から始まった。CM明けにEVILが、独特の間で悠長に入場してきた。“空気を読まない”のは、ヒールにとっては、とても大事なことだ。EVILは20分13秒かけて、EVILからの片エビ固めでSANADAに勝利した。

 そしてメインイベント。ヒロムもオカダも、ゴールデンタイム顔見せとなる入場シーンを土俵入りのようにたっぷり披露。ヒロムはリングサイドのハンディーカメラに向かって恍惚(こうこつ)の表情で「プロレスを楽しんでくれていますか? これからすごいことが起きますよ」とメッセージを送った。こんなシーンは昭和にはなかった。

 だが試合が白熱すればするほど放送が終わらないかと不安になっていく、昭和のあの感覚がよみがえってきた。午後8時50分過ぎ。試合時間が「15分経過」とアナウンスされた直後だった。ついにテロップが出た。「引き続き試合の模様は動画配信サービス『新日本プロレスワールド』でご覧いただけます」、「試合の途中ですがプロレス中継を終了いたします 試合の結果はこのあとBS朝日の番組内でお知らせします」。

 動画配信サービスの実況も兼務している寺川俊平アナウンサーは、放送時間終了には触れず「どんな戦いがこの後、続いていくのか」と言って番組は終わった。この日は「新日本プロレスワールド」が無料配信されていたため、そっちに流れた人は多かったことだろう。壮大な宣伝番組だった、なんてことは言わないが、令和のプロレスは1時間枠生中継にそぐわないことだけは、これではっきりした。(酒井 隆之)

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