放送後3か月経過もくすぶる岡村隆史の不適切発言…それでも消えて欲しくない生ラジオの魅力

「ナインティナインのオールナイトニッポン」のパーソナリティーを務める岡村隆史(右)と矢部浩之
「ナインティナインのオールナイトニッポン」のパーソナリティーを務める岡村隆史(右)と矢部浩之
社長みずから伝統の番組「オールナイトニッポン」を守り抜く決意を明かした東京・有楽町のニッポン放送本社
社長みずから伝統の番組「オールナイトニッポン」を守り抜く決意を明かした東京・有楽町のニッポン放送本社

 放送後3か月が経っても、あの“暴走発言”の火だねはくすぶっていた。

 8日、東京・有楽町のニッポン放送で行われた檜原麻希社長(58)の定例会見。同局は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月から記者を招いての定例会見を中止に。3月11日以来、4か月ぶりの開催となった、この日は全記者に検温、消毒を義務づけ、前方に並んだ幹部6人の前には大きなアクリル板が置かれる厳戒会見となった。

 新番組への思い、3か月半遅れの“開幕”となったプロ野球中継「ショウアップナイター」への手応えなどへの檜原社長の発言が終わり、自由質問の時間になったとたん、「あの発言」への質問が出た。

 「4月の岡村さんの不適切発言への社長の思い、その後の社内対応は?」―。

 「ナインティナイン」の岡村隆史(50)が4月23日放送の「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」(ANN、木曜・深夜1時)で「コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことがある。苦しい状態がずっと続きますから、美人さんがお嬢(風俗店勤務の女性)やります。稼がないと苦しいですから。だから今、我慢しましょう」などと発言。女性蔑視であり職業差別であると、多くの反発を生み、謝罪に追い込まれた一幕は記憶も新しいところだ。

 岡村は1週間後の放送で「たくさんの人たち、特に女性の皆さんに不快感を与えたことについて、心から謝罪させていただきます。本当に申し訳ございませんでした。大変な失言だった」などと謝罪。その日の番組には相方の矢部浩之(48)も出演。岡村への公開説教を行い、翌週も2週連続で番組内で謝罪した。5月14日深夜の放送からは矢部もパーソナリティーに復帰。矢部が2014年9月に卒業して以来、6年ぶりに「ナインティナインのオールナイトニッポン」が復活。再スタートを切った。

 騒動後、2か月半が経過して初めて聞ける同局トップの騒動への思い。広々とした地下会議室に集まった約20人の記者の間に一気に緊張が走った。

 檜原社長は「岡村さんの女性の尊厳と職業への認識に欠ける発言がありました。お騒がせしたことをお詫び申し上げたいと思います」と、改めて謝罪。「放送を聞いていただいた方は分かると思いますが、(岡村は)自分の認識不足、スタッフとのコミュニケーション不足でああいうことになってしまったことを非常に反省しておられた。そこに矢部さんから手を差し伸べていただいた。翌週の放送に出ていただき、公開説教という形にさせていただいた。世間的にああいう形の放送になり、2人の話し合いで『ナインティナインのANN』が復活しました」と経緯を説明した。

 その上で「我々も、スタッフも、岡村さん本人も、矢部さんも批判を真摯(し)に受け止め、その上でリスナーの皆さまには温かい『もう1回、頑張って!』というリアクションをいただいた。リスナーには感謝の気持ちでいっぱいです。ペースをつかむには時間がかかると思いますが、我々としても『ナインティナインのANN』を全面的にバックアップして放送を続けていきたい」と、言葉に力を込めた。

 今後の改善策についても「ANNは2時間の生放送のトーク番組であり、今回の件も特有、固有のケースでございます。番組制作に携わるニッポン放送の社員、制作会社のディレクターに対して、一連の経緯と問題点をまとめた資料を作成いたしました。その資料で各番組のプロデューサーから説明するとともに、なぜ、いけなかったのかとか、今後、こうした発言のなきよう、すみやかに厳しく注意を喚起して、指導をしたということです」と説明。

 「これ(放送時)もコロナの一番、在宅(勤務)で少人数でやっている期間でもありましたので、大人数で集まっての研修というよりは個別のグループ、班に対して、それぞれのプロデューサーに対して、我々が指導し、それを伝えていくというやり方をさせていただきました」と続けた上で生番組における対応策についても「スタッフがその場で『これはダメだぞ!』と思っていれば、そこでディレクターも(放送)作家もいるし、放送局としての対応ができる時はできると思います。岡村さんも十分な大人ですので、なぜ、これが問題だったかはよくよく理解して対応している。ケースバイケースですが、リスナーにも、批判を受けた世の中に対しても、我々もお互いが理解していかないと解決しないと思います」とラジオ放送のプロとして分析した。

 檜原社長は慶大卒業後の85年に入局。デジタル事業局長、取締役編成局長などを歴任後、昨年6月に同局史上、いや、民放キー局史上初めて女性として社長に就任した人物。経営者に男女の性差など関係ないが、こと岡村の暴走発言については、一女性として思うことがあったのではないかと、私は想像した。しかし、檜原社長は厳しい表情のまま、あくまで淡々と問題点を振り返り、今後の改善策を口にした。

 しかし、私には会見出席前から聞きたいことがあった。

 「ナイナイのANN」は「長く続けて行くため」として、5月28日の放送から生放送ではなく、収録での放送に変更。そのまま、録音での放送に落ち着いている。

 81年から90年まで放送された「ビートたけしのオールナイトニッポン」を夢中になってリアルタイム聴取し、今や懐かしいカセットテープにも録音。学校に持ち込んで友人たちと聞き合って、再度、爆笑。83年から89年まで放送の「鴻上尚史のオールナイトニッポン」では、鴻上さんの言葉に踊らされ、番組放送後の東京・日比谷公園での「早朝ジェンガ」に参加しようとした経験も持つ私には、どこか“ライブ感”が失われた「ナイナイのANN」に物足りなさを感じていたから、そのまま聞いた。

 「パーソナリティーが思いのままにしゃべり、何が飛び出すか分からない生の魅力こそ、ANNの真骨頂ではないでしょうか?」―

 檜原社長は収録に至った理由について、「今、どうしてもスケジュールのことで…。(岡村の)大河ドラマ(『麒麟がくる』出演)とか、矢部さんも加わったということで、今は収録にさせていただいていますけど、早期に時間があれば、生放送に戻したいと思います」と即座に答えると、「基本的にはANNというのは生放送でやる番組だと、コンセプトとしてなっています。スケジュールの関係等々、たまに収録も発生しますが、『なるべく早くに(生放送に)戻せるようにしましょうね』という話はしています」と続けた。

 その瞬間、私は「待ってました」と思った。

 岡村の今回の暴走発言は許されるものではないし、決して風化させてはならない点も多く残されていると思う。しかし、ANNという真夜中にパーソナリティーの「生の声」で大いにリスナーを楽しませ、勇気づけてきた番組の魅力は決して色あせない。

 檜原社長が、この日の会見で、その声に最も力を込めて言った「ANNは(生の)そういう面白い番組ですから、そこは億せずやっていってもらいたい。スタッフがこのことで成長してくれればよいと思います」という言葉こそ、ラジオの現場の真実。この言葉にこそ、ANNの、ニッポン放送の、いや、全ラジオ業界の思いと夢が込められている。私はそう思った。(記者コラム・中村 健吾)

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