【有森裕子の本音】「心の健康」へ文化芸能の力

有森裕子さん
有森裕子さん

 プロ野球に続き、4日にはサッカーのJ1も再開。スポーツの現場が徐々に戻って来ています。そんな中、団体球技のリーグで構成される日本トップリーグ連携機構は、「無観客試合」という呼び方にマイナスイメージがあるということで、「リモートマッチ」という呼称を決定しました。

 選手、そしてファンが現在の状況をなかなか受け入れられない中で、前向きにいこうと表現を変えるという考え方には賛同できます。感情というのは言葉によって作られるものもあると思うからです。

 マラソンを取り巻く環境は現在も厳しいものがありますが、他競技の試合が始まったことは力にもなります。「自分たちも諦めなければ、いつか再び競技ができる」という気持ちを持つことができますし、野球やサッカーの選手が「自分たちが競技をすることで、多くの人たちに元気を与えられれば」という言葉からは、スポーツの大切さを改めて感じました。

 一方で、気になっていることもあります。それは、新型コロナウイルスで多大な影響を受けている文化芸術面の現状が、あまり報じられていないことです。先日、エンターテインメント業界の方々と話す機会があったのですが、自粛によって大変な状況下にあることを聞きました。

 いわゆる「コロナうつ」や、外出自粛をすることで健康に異常を来すことが問題となっていますが、それを改善するのはエンターテインメントの力だと思っています。喜怒哀楽を表現するのは人間にとって重要ですし、こんな時期だからこそ、文化芸術が必要ではないでしょうか。今の日本は「心の健康」が少し置き去りにされている気がします。

 スポーツを取り巻く環境が少しずつ回復してきたのは喜ばしいこと。ただ、それだけで満足せず、世間全体を見渡していく必要があると感じました。(女子マラソン五輪メダリスト)

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