【森永卓郎の本音】専門家会議の失敗に2つの問題

森永卓郎氏
森永卓郎氏

 今月24日、西村経済再生担当相が、日本のコロナ対策をリードしてきた専門家会議を廃止すると表明した。表向きは、コロナ特措法と整合性のある分科会に衣替えということになっているが、本音は、専門家会議のコロナ対策が失敗だったと判断したからだろう。

 新型コロナウイルスの感染は、実際の感染日から2週間程度たたないと判明しない。潜伏期間が6日間ほどあり、そこから検査を受けるまでのタイムラグ、そして検査結果が出るまでのタイムラグがあるからだ。そこで、専門家会議の作成した推定感染日ごとの新規感染者数の推移をみると、感染爆発が起きたのは、3月20日からの3連休の時であり、3月28日にはピークアウトしている。政府が7都府県に緊急事態宣言をしたのは、4月7日だが、その時点で感染は完全に収束に向かっていたのだ。

 そのため、「人と人の接触を8割減らさないと、日本で42万人が新型コロナウイルスで死亡する」との見解を示した北大の西浦教授への批判が高まっている。中には、西浦教授の数理モデルを全否定する見方もある。だが、モデル自体はシンプルなもので、問題はない。

 1つの問題は、1人が何人に感染させるかを示す「基本再生産数」をドイツにならって、2・5としたことだ。日本を含むアジア人は、欧米と比べて圧倒的に新型コロナに耐性がある。だから、仮に基本再生産数を1・5にしておけば、接触の削減目標は、急速に減らす場合で67%、緩やかに減らす場合は50%で済んでいた。

 もう1つの問題は、全国一律で自粛を要請したことだ。直近の都道府県別実効再生産数をみると、1を超えているのは東京都だけだ。つまり、東京だけは、いまも営業自粛や外出規制が必要というのが、西浦モデルの含意なのだ。(経済アナリスト)

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