元プロバスケットボール選手でアナリストの佐々木クリス氏によるコラム。第11回は、新型コロナウイルスによる約4か月の中断を経て、7月30日に再開するNBAのシーズン展望を語る。
ついにNBAの再開が決まった。7月30日から全30チームではなく、22チームでディズニー・ワールド・リゾート(フロリダ州)での集中開催。8試合のシーズンの後、16チームによるプレーオフ(PO)が行われる。新型コロナウイルスの感染リスクを考慮すると、より少ないチーム数が理想で、いきなりPOの案も考えられただろう。
だが、4か月以上もの中断期間があった中での再開には、やはりファンからの期待も大きく、盛り上がりも必要。経済面から見ても、3月12日の中断以降、ゲームがなかった場合はリーグ損失2000億円とも言われていた中、試合を一つでも多く実施することで、放映権料の払い戻しを避けることも重要だ。この状況下であれば、22チームでの再開はベストな選択だと言える。
再開後、白熱の戦いが予想されるのが、西カンファレンスのPO進出を懸けた争い。残り1枠を6チームで争うが、実際に絡んでくるのは3チームとみる。まず、渡辺雄太選手がツーウェー契約を結ぶ現在8位のグリズリーズ。パワーフォワードからポイントガードまでこなすウィンスロー選手が故障から復帰することで、戦力は増すだろう。
次に同9位のトレイルブレーザーズ。コリンズ選手とヌルキッチ選手のビッグマン2人がけがから戻ってくる見込みで、中断前より確実にチーム力は上がる。そして同10位のペリカンズは今季のドラフト1位・ザイオン選手が所属し、注目度も高い。
3チームはいずれも3・5ゲーム差以内におり、残り1枠を懸けた戦いはヒートアップ間違いない。4か月ぶりの実戦となると、もちろんけがへの懸念もあるが、コロナやけが対策のため、再開決定から約2か月もの時間が設けられた。選手たちは最善の状態でコートに戻ってきてくれるだろう。