将棋王位戦で藤井聡太七段の挑戦を受ける木村一基王位にインタビュー「彼は子供ではないです」

木村一基王位(昨年度の王位戦第6局から)
木村一基王位(昨年度の王位戦第6局から)

 将棋の最年少棋士・藤井聡太七段(17)が23日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第61期王位戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢2冠(27)=叡王、王座=に勝ち、木村一基王位(47)への挑戦権を獲得した。昨年度、史上最年長で初タイトルを獲得した木村王位に史上最年少棋士が挑む7番勝負は7月1日に開幕する。木村王位は初防衛戦に臨む思いをスポーツ報知に語った。

 47回目の誕生日に届いたのは、30歳年下の少年が挑戦者に躍り出るという一報だった。迎え撃つ木村王位は、快進撃を続ける藤井将棋を称賛する。

 「とても内容が良いですね。非の打ち所がないし、ミスも少ない。特長がさらに伸びて、強くなっています」

 公式戦での対戦はないが、昨年5月の「瀬戸将棋まつり」での公開対局では藤井七段が勝利。同7月放送の非公式戦「第2回AbemaTVトーナメント」準決勝でも3番勝負を戦い、藤井七段が2勝1敗と競り勝っている。

 「落ち着いていて(対局することで)何かをつかめた感覚はないです。おとなしくて控えめで、何を考えてるのかちょっと分からない(笑い)」

 「最年長対最年少」という構図は、確実に耳目を集めることになる。

 「ひっそりと将棋を指したいので、騒がれるのはどうかなあという感じはしますけど、仕方ないですね。その中でも自分のペースを保たなきゃいけないかなと思います」

 中3と小6、姉妹2人のパパ。長女と3学年しか変わらない少年と棋界の頂点で雌雄を決することになる。

 「将棋の世界と一般の世界では感覚にズレがあるかもしれないですけど、彼はもう子供ではないです。実力通りに勝ち続けている人。若いからどうこう、というのはないです」

 昨年度、現竜王・名人の豊島将之王位(30)=当時=に挑戦し、4勝3敗で初タイトルを奪取した。7度目の挑戦を実らせ、46歳3か月で史上最年長の初タイトルに輝く快挙となった。局後に涙を見せ、ファンの心を捉えたシーンから早1年(厳密には9か月)。初めての挑戦者を迎える。

 「気が付いてみると、一年はあっという間ですね。やってみないと分からないですけど、防衛戦という意識はないですね。指すのは同じ将棋なので」

 今春は新型コロナウイルスの影響で対局からやや遠ざかった。

 「研究会もできないので、実戦感覚が鈍るようなことはあったような気がしますけど、時間的余裕があったので昔から気になっていた技術的なことに取り組めました。マイナスな時間ではなかったです。確認したり、新しいものを見つけたり。無駄にはならなかったと思っています」

 人がいない時間を見計らって、日課のランニングも続けた。中学時代から不動という66キロの体重を維持するどころか、1キロ痩せた。わずかな差でも、棋士のメカニズムは繊細にできている。

 「対局で長時間座ってても苦にならなくなりました。これは良かったです」

 ベストコンディションで7番勝負に臨む。タイトル戦での30歳差(29歳11か月差)の顔合わせは、1989年度の棋王戦で66歳の大山康晴十五世名人が26歳の南芳一棋王(いずれも当時)に挑戦(0―3で敗退)した際の40歳差に次ぐ史上2位の年齢差となる。

 「取ったものですから愛着はありますけど、どんな結果になろうと一生懸命やるだけです。去年、豊島さんと指した時と似てると思っているんですよ。年下と指す意味では一緒ですから」

 ひょうきんな人柄でファンに愛されている棋士だが、電話口から聞こえる声は勝負師が勝負に向かう直前の鋭さを放っていた。

 再び将棋史に残る戦いが始まろうとしている。(北野 新太)

 ◆木村 一基(きむら・かずき)1973年6月23日、千葉県四街道市生まれ。47歳。故・佐瀬勇次名誉九段門下。85年、奨励会入会。97年、23歳で四段昇段。19年、7度目のタイトル挑戦となった王位戦で豊島将之王位(当時)を4勝3敗で下し、史上最年長の46歳3か月で初タイトルを獲得した。現代将棋では少数派の「受け(守備)」の棋風で、異名は「千駄ケ谷の受け師」。居飛車党。家族は妻と2女。

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